「女を抱いた後の飯は美味い」態度の悪い風俗嬢に勧められた絶品ナポリタン――爪切男のタクシー×ハンター【第二十話】
―[爪切男の『死にたい夜にかぎって』]―
終電がとうにない深夜の街で、サラリーマン・爪切男は日々タクシーをハントしていた。渋谷から自宅までの乗車時間はおよそ30分――さまざまなタクシー運転手との出会いと別れを繰り返し、密室での刹那のやりとりから学んだことを綴っていきます。
【第二十話】「ダメだった時の自分を忘れない男は必ず良い男になる」
シーチキン以外の「食」というものに何のこだわりもない生き方をしてきた。昨今の、男や女の一人飯を描いた漫画やドラマの流行にもピンとくるものがない。飯は基本的に一人で食べるものだと思っているし、温かいミートボールよりも冷えたミートボールの方が美味しい。人の心もミートボールも温めてばかりじゃ趣がない。
「食」に対するこだわりのなさは、外食に関しても同様である。飲食店にて、自分が注文したのと違う料理が運ばれて来たことに激怒している人をたまに見かけるが、あそこまで怒る気持ちが全く理解できない。注文した料理が必ず運ばれて来るような平和な世界に私達は生きていないはずだ。ちょっとばかりのお金を払ったぐらいで、見ず知らずの私の為に美味しい料理を作ってくれること自体が奇跡なのだ。SMプレイに近いものがある。些細な注文ミスぐらいは許せるおおらかな気持ちで生きていこう。
目玉が飛び出る程の不味い料理を出された時も怒ってはいけない。不味くてもなんとか食べられる料理を作ってくれたことにまず感謝の気持ちを忘れない。そして目の前の料理から想像する。牛肉、この肉の為に犠牲になった牛の鳴き声が聞こえる。米、雨にも負けず風にも負けないたくましい農家の息遣いが聞こえる。料理人、難しそうな顔をしている強面の料理人、厨房を叱責する怒号が聞こえる。割り箸、この箸を作るために木が切り倒された時の爆音が聞こえる。さまざまな業種の人々や動物が関わって目の前に料理がある。皆様、本当に毎日お疲れ様です。その上でこの料理は不味いのである。そう思うとなんだか無性に笑えてこないだろうか。酸いも甘いも人生と言うのであれば、不味い料理も人生、それを楽しむのもまた人生だろう。
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『死にたい夜にかぎって』 もの悲しくもユーモア溢れる文体で実体験を綴る“野良の偉才”、己の辱を晒してついにデビュー!
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