「女を抱いた後の飯は美味い」態度の悪い風俗嬢に勧められた絶品ナポリタン――爪切男のタクシー×ハンター【第二十話】
ある日の中華料理屋にて、炒飯を頼んだのに焼きそばが運ばれて来たことがあった。もちろん私は怒ることなどせず、静かに焼きそばを食べていた。ピーク時の店内は客でごった返して戦場のようだ。こんなに忙しいのに600円ちょっとで料理を作ってくれたことに感謝の気持ちでいっぱいだ。わざわざ作り直させるのも悪い。今日は焼きそばでいい。そう思っていたら、オーダーの間違いに気づいた中国人店員が近づいて来た。
「あなた! あなたは焼きそばじゃないよ。炒飯でしょ、炒飯。全然違う料理よ。なぜ食べるかね。なぜ言ってくれない。全然違う料理。分かる?」
人生は生き難い。
こんな私にも思い入れが深い料理がある。それはナポリタンである。
渋谷の道玄坂246沿いのビルの密集地帯。ビルの谷間のゆるやかな坂道を登っていくと、まともな仕事をしているとは思えないどんよりとした雰囲気のビルの一階に昭和初期風の外観の純喫茶があった。今は閉店してしまったが、その珈琲専門店のナポリタンは私にとって忘れられない一品だ。
そのお店を知ったきっかけは仕事帰りに寄った風俗だった。
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『死にたい夜にかぎって』 もの悲しくもユーモア溢れる文体で実体験を綴る“野良の偉才”、己の辱を晒してついにデビュー! ![]() |
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