更新日:2022年08月22日 02:52
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反グローバリズムを望んでいるのはアメリカ国民自身であるという事実

反グローバリズムを望むのはアメリカ国民自身

 今、私たちは、グローバリズムというものはなんか嘘くさいぞと感じ始めている。でなければ、なぜオバマ大統領の後にトランプ大統領なのか。なぜイギリスがEUからの離脱を決めたのか。先進国の国民の多くがグローバリズムの限界をうすうす感じている。  グローバリズムの反対はエスニックという言葉である。日本でエスニックというと、東南アジアの辛い料理を思い浮かべる人がほとんどだろうが、そうではなく、「民族的」という意味だ。  日本では例えば神社に参拝に行く若者が増えている。伊勢神宮にも8月15日の靖国神社にも、多くの若者が参拝に訪れている姿を見ることができる。  国内の一部マスコミ、有識者や評論家と呼ばれる人たち、また、近隣の3カ国は、「日本は右傾化している」と言うが、右傾化ではない。「民族化」しているのである。  世界が経済で結びつくというのが幻想であることは、すでに明らかになっている。アメリカの物価は、1995年から2015年の20年間で約2倍に上がっている。だが、アメリカ人の収入が2倍に増えたかといえば、そんなことはない。個人資産100億、200億ドルの人がいる一方、最下層では1時間に7ドル、8ドルしかもらえない労働者がいる。先進国のものづくりのために働き、貧困に喘ぐ人たちも限りなく多い。  富が二極化するということは、生活の質も二極化するということである。その二極化する生活の中で、ごく一部のアメリカ人たちは、「本当の生活の質とは何か?」と考えた。本当の生活の質とは物質的な豊かさではない、縁を感じる、誰かとつながっている、誰かと心を交換し合うことができる、安心感を持つ、そんな関係性を持つことではないか。  では、自分は何に帰属するのか、もちろん家庭はある。しかし、それ以上に潜在的意識にあった民族への帰属感が顕在化した。この現実が世界の人々をエスニックに向かわせているのである。 【佐藤芳直(さとう・よしなお)】 S・Yワークス代表取締役。1958年宮城県仙台市生まれ。早稲田大学商学部卒業後、船井総合研究所に入社。以降、コンサルティングの第一線で活躍し、多くの一流企業を生み出した。2006年同社常務取締役を退任、株式会社S・Yワークスを創業。最新刊は『なぜ世界は日本化するのか』(育鵬社)。 <写真/Michael Vadon(flickr)
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なぜ世界は"日本化"するのか

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