なぜインドで洗濯洗剤「アリエール」が広まったのか?―― 150万人の父親を動かしたP&Gの戦略PR
また、インドのファッションウィーク中にアパレルメーカーと組んで「なんで洗濯は女性だけの仕事なの」というメッセージを出したり、とあるアパレルメーカーの服の洗濯マークのタグに「Can be washed Boss & Weman(男女関係なく洗濯できます)」という皮肉を込めたメッセージを入れたりなど、ネットとリアルを縦横無尽に使い、仕掛けていったのだ。その結果、SNS上でインドのお父さん約150万人が「洗濯します」と宣言するまでになった。
この施策は、まず「インドのお父さんは家事をしない」という「おおやけ」の問題を提起しつつ、服つながりでアパレルメーカーも巻き込み、お父さんたちの意識改革を進めるとともに、女性側も「いいこと言ってくれるわ、アリエール」とブランドの好感度も上がる、という非常に良くできた王道のPRであることに注目したい。マーケティング的に見ても、この一連のキャンペーンで洗濯に目覚めたお父さんが洗濯洗剤を選ぶ際、アリエールを選びやすくなるという効果も期待できる。このキャンペーンは、インドでのべ5500万人もの目にとまり、アリエールの売上は60%アップした。
社会が解決したい「おおやけ」の問題と商品を結びつけることで、世の中で話題化し人を動かす。これが王道的な戦略PRのやり方なのだ。
このたび出版した『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』では、「おおやけ」のほか、「ばったり」「おすみつき」「そもそも」「しみじみ」「かけてとく」の6つの法則を紹介。商品力や宣伝力だけではモノが売れない時代の戦略PRとは何か?を綴っている。<取材・文/本田哲也>
本田哲也●戦略PRプランナー。「世界でもっとも影響力のあるPRプロフェッショナル300人」にPRWEEK誌によって選出された日本を代表するPR専門家。著書に『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』『戦略PR』など。
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『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』 「商品力」や「宣伝力」だけでは、もはや人は動かない。 |
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