更新日:2022年10月05日 23:35
恋愛・結婚

新橋キャバクラ店撲殺事件から考える。「性をウリにしない職業」なんてあるのか?【カリスマ男の娘・大島薫】

先日、見知らぬ男から急に仕事のオファーが来た話

⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1393422 大島薫 そういえば、男の見た目同士のときは仕事が楽だったなと思う。基本的に恋愛対象だと双方で思っていない男性同士は気をつかうことはあっても、あくまでビジネス上でのマナー程度のものでわかりやすくやってこれた。  ところが、今の女性の見た目になって、フリーで活動するにあたり、面倒なことが増えた。  ボクはマネージャーなどを付けずに活動をしているため、基本的に仕事用のメールアドレスを公開し、直接クライアントからの依頼を受けている。ある日のこと、1件大きな会社の社員であるという人から「仕事を依頼したいから打合せをして欲しい」と連絡がきた。  ここまではよくある話だ。打合せで初対面の男性と会うなんてことは、もうフリーになって何度も経験していてまったく違和感はない。「最初に打ち解けておきたいから居酒屋などで飲みながら話をしましょう」という誘いも、わりとよくあるので気にしない。いまのご時世でも飲みニケーションで仕事をやっていこうというスタンスの人はたくさんいる。  待ち合わせ場所に着き、依頼をくれた担当の男性と会う。居酒屋に入り、しばらく話しているとその男性が「いやー、ずっと会いたかったんですよ。大島さんのビデオを何度も観たことがあって、ホント感動です」というような話を始め、そこで多少の違和感を覚え始める。  その後、なかなか仕事の話にならないなと思い、こちらから切り出してみることにした。 「あの……もしかして、これ、特に仕事の話じゃない感じですか?」  すると、その男性はあっけらかんとこう言った。 「いやー、バレました?(笑)」  バレましたじゃない。こちらは時間を割いて打合せに来ているのだ。しかし、その男性がその企業の社員であるのは本当なようだったので、無下にすぐ帰るとも言えず、結局2時間くらい仕事にもならないのに、その男性と意図しないデートに付き合わされることになった。  こんなこと男性の見た目のときには想像もつかなかったが、いまだとわりと多く経験する。撮影現場で関係ないところでやたら距離の近い男性がいたりすると、ボクの自意識過剰なら別にいいのだが、自然と身構えてしまうようになった。  いや、もしかしたら男性にもこういうリスクはあるのかもしれない。好色な女性に、仕事の話と称して呼びつけられて、逆セクハラを受けるような場面がないとは言い切れない。だが、圧倒的に男性より女性のほうがそういう場面に遭遇する回数は多いだろう。  こと男性の我々としては、男性の好意を受けやすいそういった水商売や風俗に努めている女性を、「女性を売り物にしている」と考えがちだ。だが、実際のところどんなところでも女性フィルターはかかっている。 「ムサくるしい男性の営業マンに仕事をあげるぐらいなら、かわいい女の子が営業に来てくれたらいいな」  くらいはだれだって考えたことがあるだろう。しかし、当の女性から見ると、そんなスタンスで仕事先の人間に見られていると考えるのは、なかなかの恐怖だ。意図せずとも女性というのは売り物になってしまう。  だから、今回のこの事件について、女性だから、性を売り物にしているからといったことではなく、考えるべきはシンプルに「水商売の環境の劣悪さ」でなければいけない。性別というものを売り物にしたボクだからこそ、この「女性だから」、「男性だから」という性別のフィルターは真実を見る目を鈍らせるのだと感じる。  一度、あらゆるニュースをごくごく当たり前に、「人間」が起こしたものとして捉えてみると、考えるべき物事の輪郭が見えてくるのではないだろうか。 【大島薫】 作家。文筆家。ゲイビデオモデルを経て、一般アダルトビデオ作品にも出演。2016年に引退した後には執筆活動のほか、映画、テレビ、ネットメディアに多数出演する。著書に『大島薫先生が教えるセックスよりも気持ちイイこと』(マイウェイ出版)。大島薫オフィシャルブログ(http://www.diamondblog.jp/official/kaoru_oshima/)。ツイッターアカウントは@Oshima_Kaoru
1989年6月7日生まれ。男性でありながらAV女優として、大手AVメーカーKMPにて初の専属女優契約を結ぶ2015年にAV女優を引退し、現在は作家活動を行っている。ツイッター@OshimaKaoru
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