更新日:2022年10月05日 23:46
エンタメ

なぜガンダムの主題歌にアニメと相性抜群のへヴィメタルが使われなかったのか?【山野車輪】

“へヴィメタル”を取り入れていた富野由悠季監督

 だが富野監督作品は、別の意味でヘヴィメタルに近かった。『重戦機エルガイム』(1984年)の英語表記は『Heavy Metal L-GAIM』なのである。そして、OPテーマ「Time for L-GAIM」もまったくヘヴィメタルではなかったが、「ヘヴィメタル!」という合いの手が入っているのだ。富野監督は、ヘヴィメタルという音楽そのものを反映させることはなかったとしても、ティーンに流行の音楽を的確に作品に反映させていたのである。富野監督の時代を読む能力は鋭かった。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1395019

アニメ『重戦機エルガイム』(1984年)の主題歌「Time for L-GAIM」。左上に英語表記の『Heavy Metal L-GAIM』とある。 (著者撮影)

 何にせよ、あの頃のリアルロボットアニメの主題歌に、重金属なヘヴィメタルの楽曲がなかったことは残念である。  ところで、『エルガイム』でキャラクターとメカニック双方のデザインを行なった永野護は、1987年にMAMORU NAGANO’S SUPER NOVA名義で、アルバム『スーパーノヴァ』を発表している。これはアニメ雑誌『月刊ニュータイプ』(角川書店)に連載されていた同氏によるマンガ『フール・フォー・ザ・シティ』のイメージ・アルバムで、作詞・作曲・ベース演奏で著者自身が参加。タイトルは1970年代初頭に結成されたロックバンドFoghatの1975年発表の楽曲。同イメージ・アルバムのヴォーカルは、永野の妻で声優の川村万梨阿が務めた。

アルバム『スーパーノヴァ』と川村万梨阿の「瞳のなかで」。(著者撮影)

 オタクが好むリアルロボットアニメおよびティーン向けアニメは、80年代半ば頃からOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)へと移行していき、こちらの方で、ジャパメタ・ミュージシャンが起用されていくわけだが、それは改めて述べたい。
(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)
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ジャパメタの逆襲

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