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止められない北朝鮮のミサイル発射…国防は永世中立国スイスの核武装論に学べ【長尾一紘】

戦争をしないための「抑止力」を理解できない日本人

 また、「抑止力」の問題があります。スイスにおける国防計画は用意周到を極めています。これはすべて、戦争をするためのものではなく、戦争を抑止するためのものです。戦時中のドイツは、スイス軍の用意周到な軍備に恐れをなして、スイス侵攻を断念しました。またスイスが半世紀近くの間、核兵器の保有に固執したのも、核兵器を使うためではなく、核の攻撃を受けないためのものです。一方、日本においては、この「抑止力」という観念がまったく理解されていないようです。  国防意識について、スイス人と日本人の間には大きな相違があります。これをどのように考えるべきでしょうか。はっきり言えることは、スイス人の国防観は世界の常識を示すものです。日本人は、真に守るべきものを見失ってしまったようです。このような事態に対応するためには、世界の常識に学ぶことが必要です。スイス人の平和と戦争についての考え方は、そのための貴重な実例を示しています。  護憲派憲法学者は「非武装中立」を前提にしていますが、「非武装」と「中立」は、両立しえない関係です。「中立」を維持するためには軍隊が必要であることをスイスは身をもって示しています。

非核三原則は違憲の政策

 日本の「防衛政策の基本」に、「専守防衛」と「非核三原則」がありますが、この二つの政策は、日本の自衛権を制限します。特に「核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませず」の「非核三原則」は、国会の各議院において採択され、「国是」であるとされています。  この非核三原則も、世界の常識にまったく反するものです。「核兵器は、自ら使うためにもつのではない。相手国に使わせないためにもつのである」、これが世界の常識です。まして、日本の周囲には、日本に対する敵意を隠さない国がいくつも存在しています。最大限に武装しても、日本国が単独で安全と独立を確保することは困難です。残念なことに、この世界には「平和を愛する諸国民」だけがいるわけではありません。  そのような状況の下では、これらの政策は異常というほかありません。政府は、なんらの根拠もなく自衛権の行使を制限しているのです。その結果、日本の平和は不断に脅かされるようになっています。そして国民の幸福追求権なども脅かされるようになっています。あえていえば、専守防衛も、非核三原則も、違憲の政策です。
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日本が核武装を目指すためには? 3つの選択肢
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世界一非常識な日本国憲法

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