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止められない北朝鮮のミサイル発射…国防は永世中立国スイスの核武装論に学べ【長尾一紘】

本気で日本を守るなら核武装しかない

 日本国が核攻撃を受けないためには、報復用の核兵器をもつことが必要です。この核兵器は、相手国の攻撃に際しても生き残るものでなければなりません。そのような「核」の存在によって、相手国は、報復を恐れて攻撃を断念するのです。  戦後の日本は、ひたすら「愛される国」を目指してきました。しかしながら、平和を維持するためには、これに加えて、「恐れられる国」であることも必要とされます。これを「核抑止力」というのです。  今回の北朝鮮の核実験を受け、韓国では核武装の論議が活性化しています。韓国ギャラップの世論調査によれば、韓国国民の60パーセントが核武装に賛成しています。    一方、日本においては「核武装」はタブーとされていますが、実は日本政府は、核兵器と憲法第9条との関係について、「自衛のための必要最小限度の範囲内にとどまるものである限り、核兵器であると通常兵器であるとを問わず、これを保有することは憲法の禁ずるところではない」と解釈し、「自衛のため必要最小限度の範囲内に属する核兵器というものがもしあるとすればそれは持ち得る」〈角田禮次郎内閣法制局長官・参議院予算委員会・1982年4月5日〉という見解なのです。  いずれにせよ、平和を維持しようとすれば、実際に核武装をするか否かは別として、「核」の選択肢を残しておくことは必要とされます。自らこの選択肢を放棄することは、愚かなだけではなく、極めて危険な行為です。

日本が核武装を目指すためには? 3つの選択肢

 仮に日本が核武装を目指すとすればどのような方策があるでしょうか。次の三つを挙げることができます。 A 在日アメリカ軍に核の配備を要求する。 B 単独で核を保有する。 C NATO加盟国にアメリカが提供しているオプション「核シェアリング(核の共有)」に参加する。  これらのうち、Aについては、決定権が日本にないという点において問題があります。Cにつきましては、小型の戦術的核兵器に限られるという点において問題があります。  やはりBをめざすべきです。ただし、核拡散防止条約という難問があります。ここから離脱するには政治的、経済的に相応の犠牲が不可避です。周辺国のリアクションも覚悟しなければなりません。しかし核兵器の保有は恒久的な平和維持のための唯一の手段です。我々は相応の犠牲を払ってもこれを選択する必要があります。それは我々の子孫に対する義務でもあります。 【長尾一紘(ながお・かずひろ)】 中央大学名誉教授。昭和17(1942)年茨城県生まれ。中央大学法学部卒業。東京大学大学院法学政治学研究科を経て、中央大学法学部教授。この間、司法試験考査委員、中央大学法科大学院教授を併任。「外国人への地方参政権付与合憲説」を日本で最初に紹介したが、理論的反省と民主党政権の政策への危機感から、自説を撤回。その後「外国人参政権違憲」の著書、論文を発表した。最新刊は『世界一非常識な日本国憲法』
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世界一非常識な日本国憲法

こんな非常識な憲法は日本だけ!「外国人参政権合憲説」を撤回した著者だから書けた、憲法の欺瞞を粉砕する一冊!

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