更新日:2022年10月29日 00:53
エンタメ

BABYMETALが世界を征服!「ラウド系アイドル」を生んだアイドル&ガールズ・バンドの歴史【山野車輪】

BABYMETAL、PassCode…日本独自のジャンル、ラウド系アイドルの勃興

 2010年、ラウドロックやへヴィメタルを高いクオリティで表現する女性3人組のメタル・ダンス・ユニット、BABYMETALが登場した。彼女らの登場以降、ラウド系ミュージックとアイドルが融合した“ラウド系アイドル”グループが雨後のタケノコのように勃興している。  ここに分類されるグループは、FRUITPOCHETTE、PassCode、BiSH、です。ラビッツ(グループ名に句点「。」を入れないでほしい…)、NECRONOMIDOL、DISDOL、LADYBABYなどが挙げられる。他にも筆者の知らないところで、多くのグループが活動しているはずだ。

女装プロレスラーのレディビアードが在籍していたLADYBABY

 激増しているアイドル・グループの中から這い上がるには、何かしらの強いインパクトが求められる。ラウド系ミュージックを用いるのは、その方法論としててっとり早いし、海外市場にも訴求力ある音楽ジャンルであり、そしてBABYMETALという成功例もあるのだから、用いない手はないだろう。このジャンルの始祖であるBABYMETALについては、いずれ掘り下げたいと思う。  前回の記事で、V系の女性版が嬢メタルと書いたが、ラウド系アイドルの方がよりV系に近いかもしれない。ラウド系アイドルは演奏しないが、V系でも演奏しないエアーバンドが登場している。演奏しないというスタイルは、むしろ、進化にあたっての一つの方向とも言えよう。

ラウド系アイドルのソムリエ、求む

 “アイドル戦国時代”と称される昨今、アイドルのあり方は、とにかく幅広く拡散している。その究極系が、ラウド系アイドルだろう。このラウド系アイドル・ムーヴメントは、BABYMETAL登場以降に生まれたまったく新しいものだ。新しいグループを観るのは、楽しいことではあるが、とにかくグループの数が多く、筆者も全体像を掴みきれていない。彼女らの音楽をおっさんメタラーへ届けるには、ソムリエ役が必要とされているように思う。筆者のようなおっさんメタラー人口は多いはずなのだから。  ラウド系アイドルは、既存の音楽シーンとは一線を画す、日本オンリーの新しい音楽ジャンルだ。かつてX JAPANによって生み出されたV系も日本オンリーの音楽ジャンルだったが、今ではV系に属するバンドは世界へ羽ばたいている。この事実から考えて、BABYMETAL以外のラウド系アイドルも、いずれ世界に羽ばたいていく日が来るのではないだろうか。
(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)
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ジャパメタの逆襲

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