雑学

「ダイエットの常識を疑え」 糖質制限の達人・金森重樹が高脂質食を薦める本当の理由

kanamorilogonew 実業家として数々の事業を成功に導き、借金1億円から超富裕層にまでのぼりつめた金森重樹氏。「すべて理詰めで考え抜き、実行する」をモットーとする氏が目下、研究を重ねているのが高脂質食ダイエットだ。金森氏自身がこの方法で約30kgのダイエットに成功。5回目となる今回は、世間で流布される“ダイエットの常識”がいかに根拠のないものなのかを喝破する。

* * *

 前回の記事では、糖への依存を断つために脂質依存へとシフトすることの大切さに触れました。言うならば、「脂をもって脂を制す」という考え方です。

 牛脂をメインにした高脂質食に切り替えることで、自然と脳は甘いものを求めなくなります。そして満腹感を促すホルモンであるレプチンが分泌されるので、おのずと食事の量が減っていく。実際に、僕のメソッドを試してくれているモニターさんやフォロワーさんからも数多くこのような感想をいただいています。

冒頭

大切なのは、「依存対象」の転換。糖質依存から脂質依存にすることで悪しき習慣は断ち切れる。

 とはいえ、一概に「脂」といっても、どれでもいいわけではない。食に関して、世の中で言われている常識ほどアテにならないものはありません。

「サラダ油やマーガリンなどの植物油がカラダにいい」
「バターなどの動物性脂肪は体に悪い」

 このような「常識」を信じている人も多いですよね。けど、よく調べれば実にいい加減なものだとわかる。
<参考論文:「コレステロール医療の方向転換-緊急の課題」『YAKUGAKU ZASSHI』 125(11)2005 奥山治美・金城学院大学薬学部教授(当時)>

 こうした風潮に危機感を持った僕は、この連載やツイッターを通じて、“誤った常識”を覆すエビデンスや研究もいくつか紹介してきました。これまでの常識やダイエットの定説を疑っていく。これこそが「逆説のダイエット」なのです。

 しかし「糖を断ち、牛脂を摂る」高脂質派の糖質制限を提唱する僕のもとには、今もなおこれまでの「常識」に囚われた声が数多く寄せられます。

「ご飯を食べないと頭が働かない」は嘘!


 みなさんが誤解しがちなもっとも多いのが「糖を摂らないと頭が働かない」というもの。これはまったくの大嘘です。

 糖質摂取派の人たちは「脳の唯一のエネルギー源は糖質」ということを根拠にしています。しかし脳のエネルギーは、ブドウ糖だけではありません。ここでキーワードとなるのが「ケトン体」です。

 私たちは通常、食事から摂取した糖質を第一のエネルギー源としています。ところが、糖質制限をすると糖質が体内に取り込まれないために、身体は「糖のエネルギーをメインに使う」ことから、「蓄えている脂肪を分解してエネルギーに変える」ようにシフトしていきます。このとき血液中に放出されるのが、「ケトン体」と呼ばれる物質です。

糖はとらなくても肝臓が中から生み出す


 思考をつかさどる神経細胞「ニューロン」のミトコンドリアのエネルギー源は、このケトン体と乳酸です。ニューロンの補助をするグリア細胞(アストロサイト)と言われるものは、ブドウ糖で働きますが、これは肝臓の糖新生(ヒトが自力で糖以外のものから糖を生み出すシステム)でまかなわれるので、仮に糖質の摂取をしなくてもブドウ糖がなくなることはありません。

 厚生労働省の食事摂取基準によれば、1日に必要とされるブドウ糖は100g。一方で一般に糖新生1日130~150gとされています。

 つまり、もともと脳の思考する細胞であるニューロンのエネルギー源にブドウ糖が少なくなれば、脳はケトン体を利用します。

 もうこれで「ご飯を食べないと頭が働かない」ということは理論上、ありえないことがおわかりですね。神経細胞ニューロンは、肝臓が脂肪酸を使って作り出すケトン体とグリア細胞で発生した乳酸を利用してエネルギーを作るので、必要となってくるのは脂質なのです。つまり「ご飯を食べなくても頭は働く」のです。

自らの身体で牛脂を試す金森氏。高脂質ダイエットのアップデートに余念がない

「バランスの良い食事」は政治的見解から生まれた嘘


 疑うべき“常識”はまだまだあります。僕の高脂質食メソッドについて、

「脂ばかり摂っていたら、バランスの良い食事にならないのでは?」

 という声がたくさん寄せられています。しかし、そもそも「バランスの良い食事」とは、なにを指すのでしょう。

 1日の食事で摂取するエネルギーのうち、タンパク質・脂質・炭水化物の3大栄養素それぞれから得るエネルギーの割合を「エネルギー産生栄養素バランス(PFCバランス)」と言います。

 Pはprotein(タンパク質)、Fはfat(脂質)、Cはcarbohydrate(炭水化物)。それぞれの頭文字から取ったものですね。

 このPFCが「2:2:6」になる食事が一般的には「バランスの良い食事」と言われ、農林水産省も推奨しています。端的にいえば、米を摂取エネルギーの6割にするのが「いいもの」とされ、常識となっています。

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人は炭水化物ゼロでも生きていける

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