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安倍首相も小池都知事も「票を持ってこない者は死ね」と言っているのだ/倉山満

安倍首相も小池都知事も「自民党に票を持ってこない者は死ね」と言っているのだ

 自粛とは、営業停止も含む。当然、収入が入らない人も多い。そうした場合、普通の国では、政府が減収分を補償する。香港のような小さな地域でも1人頭14万円とか。  ところが安倍首相は「国民全員への給付はしない」と断言した。その理由として、「事務上の問題」をあげていた。その矢先に「全家庭にマスクを2枚ずつ配る」と発表した。なんだ、配れるではないか? 小切手はダメなのか?  気がふれた安倍信者以外は呆れただろうが、本質は戦慄すべきだ。  安倍首相は全国民への補償と同時に、消費減税を拒否している。一方で、農業団体の陳情で「和牛券」を検討したかと思うや、漁業団体からの陳情で「魚介券」である。ふざけているのではなく大まじめだ。  なぜか? 自民党に投票しない人間に金など回したくないからだ。そして、「お恵み」として「マスクを2枚」である。安倍自民党は、「緻密で公平な政策を検討している。全国民へのバラマキなどやらない」と公言している。これは暗号で、「自民党に票と金を持ってこない者は死ね」と言っているのだ。  この安倍首相に輪をかけるのが、東京都の小池百合子知事だ。3月30日の記者会見は、まるで殺人予告だ。カラオケボックスや夜の繁華街を名指しで「行くな」「営業自粛しろ」と求めた。一方で、名指しされなかった業界もある。もう、わかるだろう。名指しされた業界は政治献金をしておらず、されなかった団体は日ごろから付け届けをおこたっていなかったのだ。  もちろん、感染の拡大で医療崩壊寸前なのも分かる。ならば、自分が借金をしてでも、民間に補償すべきではないか。東京都は地方債を発行し、政府や日銀から借金してくればいいではないか?  小池知事の要請には法益効力はない。だから補償はなされない。しかし、従わなかったとしても罰則はない。だから感染が止まらない。営業を自粛するまでもなく客など来ない。これではコロナの前に、経済苦で死人が続出しそうだ。結果、誰も幸せになれない状況が続く。  小池都知事は愚かにも、記者会見直前に「ロックダウン」と口走った。だが、東京封鎖など物理的にも法的にもできない。特措法では外出自粛の要請ができるだけだし、感染症法で72時間鉄道を止めることができるが、それだけだ。全面的に止めると、本当に都市機能が麻痺してしまう。また外国では、法に伴う外出禁止令があり、警察のみならず時に軍隊が市民に強制する。これは、日本ではありえない。ましてや、軍刑法を民間人に適用する戒厳など、原理的にあり得ない。なぜなら日本には軍刑法が無いからだ。  日ごろから法を整備していないと何もできない。無理にやろうとすると権力者がお人よしの弱者の権利を侵害し放題になる。  今の権力者は何をしでかすかわからないと、本気で構えるしかない。’73年、香川県生まれ。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務め、’15年まで日本国憲法を教える。現在、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰し、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交について積極的に言論活動を行っている。ベストセラーになった『嘘だらけシリーズ』のほか、最新著書に『保守とネトウヨの近現代史』がある

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