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「菅総理はトップの器じゃない」パンケーキにダマされた<後編>

官房長官ぐらいが適任だった?

――やはり、菅首相にとっては官房長官が適任だったのでしょうか。 内山:ただ、官房長官としてのやり方が国民にとっていいものだったかどうかということはまた別です。前川さんや古賀さんによる圧力の実態の証言を聞くと、そのやり方は得体が知れないというかちょっと怖いです。  そして、その自分たちが「やる」と決めたことを、国民のためであるか否かは別として、何としてでもやり通すという姿勢は現政権にも引き継がれています。オリンピックの開催にしても国民に対してもう少しきちんとした説明があっても良かったのではないかと。  周辺にいる人たちからすると、やっていることがあまりに場当たり的なので、まともな神経の人だったら「ついて行けない」という心境なのではないでしょうか。首相秘書官や西村大臣の秘書官も何人も交代しています。「この人だったらついて行ける」という信頼感は官僚たちの中にはないのかもしれません。

小選挙区制によって起きたこと

内山雄人

「パンケーキを毒見する」の監督、内山雄人氏

――1994年の小選挙区の導入がよくなかったのではないかというコメントが印象的でした。 内山:やはり、今の「人事を押さえる」政権運営は、小選挙区制になって自民党執行部の意見が強くなり過ぎている結果だとは思います。もちろん、どこの地区から誰を立候補させるかについても党執行部の意見が強い影響力を持っています。  そして、強い野党の対抗馬がいる選挙区から立候補する場合だと比例区で復活当選するためには、高い順位にいなければなりません。よって、必然的に順位を決定する党執行部の権限が大きくなります。  それから選ぶほうも「この人に入れる」というよりは「〇〇党の人に入れる」という感覚が大きい。そのため、執行部は党内で強い候補者を一騎打ちにさせないように全国にバランスよく候補者を配置しています。それで益々自民党が勝ちやすくなっているのではないかと。  中選挙区制の頃は、死票が少なく、地元で支持を受けていれば、無所属や泡沫政党と言われる候補者でも当選することができました。ところが今は、党の存在が大きくなり過ぎてそうではなくなって来ています。
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何をしても勝てるという自信の先に
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