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なぜ女性たちは「ゲイストリップ」に夢中になるのか?【カリスマ男の娘・大島薫】

 見た目は美女でも心は男――。「カリスマ男の娘」として人気を博し、過去には男性なのに女優としてAVデビューを果たした大島薫。女性の格好をしたまま暮らす“彼”だからこそ覗ける、世の中のヘンテコな部分とは?

なぜ女性たちは「ゲイストリップ」に夢中になるのか? 月に1度「ゲイストリップを見ようの会」というイベントを主催している。

 これは日本に唯一存在するメンズストリップの団体「N-stage」のストリッパーさんたちを招いて行っているイベントだ。なぜゲイストリップという名前を冠しているのかというと、N-stageという団体はゲイの方向けの公演しか基本的に行っていらっしゃらないからだ。

 メンバーにはいわゆる女性が恋愛対象のノンケのダンサーさんや、男性しか恋愛対象にならないゲイのダンサーなどさまざまな方がいらっしゃるが、観客はゲイの男性しかいないため、ゲイストリップと名付けてイベントを開催している。

 普段は女人禁制のこのショーに女性客も入れるようにしたのが、ボクが主催をする「ゲイストリップを見ようの会」というわけだ。観客はいわゆるボーイズラブなどが好きな腐女子と呼ばれる女性たちで、毎回前売り券が即日完売になってしまう。

 チップタイムなどでは、女性には見向きもしないゲイ男性たちに向けて、口移しでチップを渡す女性や、演者からのハグに狂喜乱舞する光景が見られる。おそらく男性がこの空間にやって来れば、奥ゆかしい日本女性のイメージを持たれている方は、そのイメージが一夜にして崩れ去ることだろう。

 もちろん、N-stageさんとこのイベントをすることに決めたのは、彼らのショーのクオリティーが高いというところにあるのだが、しかし、どうして女性らは男性同士の絡み合う姿や、男性の裸に興奮を示すのだろうか。ましてや、その性の方向が自分たちに向いていないというのに。

女性は脳と身体の興奮が一致しない生き物


 海外で出版され、日本語訳された「性欲の科学」という本がある。サブタイトルには「なぜ男は『素人』に興奮し、女は『男同士』に萌えるのか」とある。まさに今回の話にピッタリのタイトルだ。これは認知神経科学者のオギ・オーガス、サイ・ガダムの2人がアンケート調査などだけではなく、ネット上に溢れるスラッシュ小説(海外におけるBL小説)や、ゲイサイトなど、さまざまな情報、統計を元に脳と身体の興奮について解明を試みた書籍で、個人的には名著だと思っている。

 この本によると、女性は脳と身体の興奮が一致しない生き物なのだそうだ。男性はわりと単純で、肉体が興奮すれば脳も興奮していることがほとんどらしい。たしかにおっぱいを見ればエロいと思うし、性描写は直接的であれば直接的であるほどエロいとボクも思う。

 しかし、女性は身体が性的に興奮しているからといって、必ずしも脳が興奮しているとは限らないとのこと。逆もしかりで、脳が興奮しているからといって、身体も興奮しているとは限らない。そして、女性の脳を興奮させるにはなんといってもシチュエーションが大切らしい。

 だから、男がポルノ写真1枚で興奮できるのに対して、女性には何十ページにも及ぶ膨大なストーリーが必要になる、と。たしかにAV業界にいたころ、女性向けAVにはシチュエーションが大切なのだと、業界関係者から聞いたことがある。非常に納得のいく話だ。

 そして、女性は登場人物に自分を置き換えて考えることも多いところが、BLにハマる女性たちが多い理由だと著者は続ける。例えば恋愛マンガなどがいい例だろう。主人公の女のコの片想いの気持ちに共感したり、失恋の気持ちを共有したり。

 しかし、そこでもし自分と少しでも違う考えや行動が描写されていたらどうだろう? 主人公に共感していた気持ちは一気に冷め、理解不能な作品になってしまう。そこで男性だけが登場し、恋愛をするBLというジャンルは、女性にとって「共感する必要なく恋愛を楽しめる作品」になってくれるというわけなのだ。

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女性たちは愛情を注ぐ場所を求めている

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