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参院選次第で、良くて経済的破滅、悪ければ軍事的破滅が待っている/倉山満

「岸田首相はリーダーだ」アメリカが異例の声明

 プーチンのウクライナ侵攻に際して、G7各国は経済制裁、SWIFT(国際銀行間通信協会)からの排除を決断した。アメリカにイギリスとカナダは即座に同意、フランス・ドイツ・イタリアも賛同した。後刻、アメリカは「岸田文雄首相と日本政府はプーチン氏のウクライナ攻撃を非難するリーダーだ」と、わざわざ声明した。要するに、日本は他の国の陰に隠れてロシアに石を投げようとしたら、アメリカに「お前が前に出ろ」と突き出された格好だ。  自民党には「NATOの話なので、あちらの調整を待っていた」などと意味不明な言い訳をSNSで絶叫する国会議員もいるが、恥ずかしくないのか? 調整とは平時に行うこと。戦時において即座に旗幟を鮮明にするのが政治だ。調整など官僚でもできるが、戦時における決断は政治家にしかできない。むしろ米欧諸国が手間取っているなら、自由主義陣営の間で日本が尊敬される好機だったではないか。愚かな……。

世にも恥ずかしい大臣だけは、なぜか絶対に廃止しない

 一方で、「ロシア経済分野協力担当大臣」なる、世にも恥ずかしい大臣だけは、なぜか絶対に無くさない。野党の国民民主党の玉木雄一郎代表や伊藤孝恵参議院議員やNHK党の浜田聡参議院議員に「ロシア大臣」の廃止を提言されても、岸田首相は明確に拒否する。ただしその理由は「経済制裁を行うのが大事であって、大臣を廃止するつもりはない」と日本語になっていないが。どこの国の総理大臣だ?  アクロバテック擁護をしてみよう。ロシア経済への協力「サハリン2」は経済産業省が進め、多くの大企業を巻き込んでいる国際プロジェクトだ。その調整に手間取ったか?  もっとも、調整が必要ならば経済産業省で行えばいい。歴代ロシア大臣はすべて経産大臣の兼任なのだから。別に補償金が必要でもなく、名前を消すだけなのだから、首相が決心すればリアルに1時間で実行可能だ。  と思っていたら、「サハリン2、まずは民間企業が対応考える必要=岸田首相」とのニュースが飛び込んできた。眩暈がした。
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参議院選挙次第で、良くて経済的破滅、悪ければ軍事的破滅
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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