食えない末端ヤクザの切なすぎるシノギ。古本の転売で日銭を稼ぐ日々
ゴールデンウィーク真っ只中の五月上旬だった。千葉県某所にある古書チェーン店に、メモを片手に本棚に睨みを利かす男がいた。100円均一棚から十数冊の古書を抜き取ると、レジで会計を済ませ、軽貨物車の荷台に放り込む。この男性、じつは現役の暴力団組員であるが、休日に読書を楽しむために店を訪れたというわけではない。
「これ全部、メルカリで売るんだよ。売り上げ? そうですね、いくつか一冊500円で売れるのあっから……全部で3000円くらいの利益?」
メルカリとは、テレビCMでもおなじみのフリマアプリだ。出品・落札が簡単に行えるとして若者に人気のアプリだが、最近では現金や交通系ICカード、謎の妊娠米、違法な動物の剥製などが出品されていたとして話題になっている。この男性は「せどり」と言われる古書の転売で日銭を稼ぐ真っ最中だったわけだ。にしても、なぜ暴力団員がセコい転売に……?
「単純にカネねーから(笑)。本を買って手持ちの現金は数百円だし、車のガソリンランプもずっとつきっぱなしで、いつガス欠するかわかんね。なんか稼げるシノギ(仕事)ないっすかね?」
一般的に、薬物の売買や色街の風俗店のケツ持ち・守代など、違法行為か、違法行為すれすれのグレーな業務が暴力団の資金源になっているとされてきた。だが、暴力団締め付けの風潮が高まる一方の昨今。今日食べるのにも困った末端構成員たちの手段を選ばないシノギが横行しているのだという。広域指定暴力団二次団体の幹部が明かす。
「ヤクザの世界では、クスリを触る(扱う)のは元々タブーだった。ヤクザへの取り締まりが強化されていく一方で、九州のとある暴力団がクスリの売買で財をなし、巨大化・先鋭化していくのを見て、多くのヤクザが“クスリで稼ぎたい”と思うようになったのは自然な流れ。もっとも、クスリを扱う連中は破門状態にある“半グレ”といわれるヤンキー上がりが主で、連中に指示を出しているのが暴力団構成員なんです」
ここまで堕ちた! 末端ヤクザの切なすぎるシノギ
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