渡辺浩弐の日々是コージ中
第381回
9月20日「乗ってみたかった」
・前回からの続き。沖縄にいるところに、台湾行きの話とびこむ。じゃあ目と鼻の先だしパスポートも持ってるしこのまま行ってしまおう。沖縄-台湾って船でも行けちゃう距離で、フェリー航路があったはず (たしかオウムの逃亡犯が国外脱出に使おうとした手段だ)。と、調べてみたら、今年の6月に運航休止になってた。原油価格の高騰のせいでフェリー会社が倒産してしまったらしい。日台交流の糸が一本切れたようで、寂しい。
・こういうところを、政府もサポートしてあげればいいのに。日本と台湾は、オタク仲間として仲良くすればいいと思う。尖閣諸島あたりを著作権特区のフリーポートにして、ニコ動ランドを作るとか。麻生たんどうでしょう。
9月21日「僕らと同じかも」
・前回紹介したマンガ共有サイト「ComiComi」では、「年輕時所犯下的錯誤(若さゆえの過ち)」というタグで祭りが始まっていて、これがとても面白い。
・つまり子供の頃にかいた作品を痛さ覚悟で見せあうっていう企画。今の台湾の若いクリエーターが少年少女時代にどんな作品に影響を受けて創作をスタートしたか、よくわかる。言葉や地域の壁を超えて、いきなり共感できたりする。この企画に他の国の人達もどんどん参加するようになるといいなあ。
9月22日「行ったり来たり」
・いったん東京に戻り、講談社BOX太田さんと一緒に、成田に。そしてあっというまに台湾。ComiComi@全力出版のリン社長がわざわざお出迎え。恐縮。
・台湾の若いクリエーターの文化的「育ち」を知りたい、と言ったら、かのVOFAN氏に会わせてくれるということになった。感謝。
第380回
9月17日「マンガも共有サイトに」
・「ComiComi」というサイトが面白いよ(僕もほんの少し関わっているので以下やや手前味噌な発言になることご容赦)。
http://www.comibook.com
・一言でいうとマンガの投稿・共有サイトであり、アップロードされたページに、ニコニコ動画のようにどんどんコメントを書き込んでいくことができる。台湾の出版社・全力出版が開設したもので、これまでのところは台湾クリエーターの作品が盛んにアップされている。西尾維新作品のイラスト等で日本でも知名度の高いVOFAN氏の作品もたくさんあったりする(本人がアップしているのである)。
・日本語のインターフェイスもあるので日本のクリエーターも、プロもアマも活用してみてはいかがだろう。もちろんマンガ以外の、たとえば絵とか写真とか文章をアップしてもいいのだ。コメント機能をうまく生かして工夫することによっていろいろ面白い形のプレゼンテーションができそうだ。
・全力出版社では、「ComiComi」を始めるにあたり自社の雑誌「月刊挑戦者」を休刊にしてしまうことを決断している。雑誌をデジタル化してオンライン配信に切り替える、という事例はこれまであったが、これは雑誌に代わる「場所」として共有サイトの運営を始める、というわけである。コンテンツ側、クリエーター側からのニーズによる戦略なのだ。この点が非常に大きいと思う。
9月18日「南下」
・沖縄にいる。コーヒーの勉強だってば。沖縄で実際にコーヒーを栽培しているところがあるが、高級品少量生産にとどまっているようだ。最適の場所にまとまった土地を確保するのは物理的にも経済的にも困難のようだ。うーむ。
・最近は中国南部や台湾あたりのコーヒーもとても評判がいいらしい。もう少し南下してみようかな。んなことやってるうちに結局ブラジルまで行ってしまったりして。
9月19日「さらに南下」
・んなことを考えてた矢先、講談社BOXの太田さんから台湾取材に行きませんかというメール。こういうことってタイミングがあるんですね。すぐ行くことにした。
・いや取材テーマはコーヒーのことではないんだけど。『ファウスト』@最新号の中国特集に続ける形でさらに視野を広げ、アジア全域に拡大しているオタク文化の状況を、各地の現場を回ってリアルにマッピングしていきたい、とのこと。そこで、まずは台湾へ、というわけ。
・「ComiComi」運営元の全力出版・リン社長とも、会えることになった。やった!
第379回
8月30日「パンドラの筺、開く」
・KOBO CAFEについて、講談社BOXの雑誌『パンドラ』の次号で、ちょっと変わった形でフィーチャーしてもらえることになった。あの空間の実体を初めてきちんと明かす記事になりそう。カフェを支えて下さっている作家の皆様からの協力も頂けるそうだ。ありがたい。
・もちろん僕もかりかり書いている。10月頭には出るらしい。
9月9日「ARGとしての小説」
・「ユビキタスエンターテイメント事業創造コンソーシアム」に招かれて講演。慶應大・武山政直教授の研究室と民間企業との産学連携で、ARG(代替現実ゲーム)をテーマにした研究会らしい。こういう動きが始まっているんですね。
・ARGについては前にちょっと書いたけど、ネットをはじめとしたインフラ上に情報を出し続けることにより、現実世界をゲーム空間にしてしまうエンターテイメント手法だ。僕の小説『iKILL/ iKILL2.0』等の仕掛けがARG的であるということで呼んで下さったようだ。自分の作品を新しいフレームで捉え直す良い機会になった。
・受講者は武山先生のところの学生さんが多いと思っていたら、有名企業や大手代理店の、プロデューサーの立場の方々がずらり列席していて驚いた。質疑応答では、ビジネスモデルについての話がメインになった。コンテンツの主体をデジタル化してネットに載せる以上、収益方法は全くパラダイムを変えて設定する必要がある。そこで「投げ銭」や「お布施」のような概念を真面目に考える必要がある、というようなことから、バーチャルでありリアルであり、結果、聖地としての存在感を持つに至っている「中野ブロードウェイ」という場所の価値についての話に。
9月10日「動画時代のインディーズ戦略」
・やずや・やずや氏@「ゼロアカ道場」による渡辺インタビューの動画が、ユーチューブに上がってるよ。渡辺の映像は1992年の「聖PCハイスクール」以来だし(?)、KOBO CAFEの動画って、本邦初公開かも。
・もちろんこれはほんの一部分で、フルバージョンは同人誌に掲載して頂けるわけだ。面白いですね、こういう戦略。やずやさんのブログを要チェックのこと。
http://d.hatena.ne.jp/yazunami