日本で「子どもの貧困」が深刻化している――家で朝食が食べられず保健室に行列をつくる児童たち

 日本で「子どもの貧困」が深刻化している。昨年、厚生労働省が発表した「子どもの相対的貧困率」は過去最悪の16.3%で、6人に1人の子どもが「貧困」とされる。しかし、海外のストリートチルドレンのような路上で生活する子どもを目にするわけでもなく、日本でそう言われてもピンとこない人が大半だろう。

保健室

※イメージです

 その「子どもの貧困」を伝える一例として、家庭で朝食を食べられず、牛乳とパンを求めて保健室に行列をつくる子どもたちの姿が『子どもの貧困連鎖』(新潮社)には描かれている。本書で紹介される大阪府内の公立小学校では、2008年から保健室で朝食を出すようになったという。

 始業前、まだ鍵の掛かった小学校の保健室。五人ほどの常連の児童が、ランドセルを下ろして廊下に座り込み、養護教諭を待っている。朝食を食べていない子どもたちのお目当ては、給食の残りのパンと牛乳だ――。

 本書は小学校の保健室の役割について、次のように分析している。

<学校の保健室は子どもたちの「駆け込み寺」のような存在だ。特に体が小さい小学生はすぐ「苦しい」と言ってやってくる。子どもが体と心の異変を訴えられる、学校で最初に不調に気づいてあげられる貴重な場所だ。このため、熱心な養護教諭がいる学校では親の虐待に気づく端緒になるケースも少なくない。>

 文部科学省の「平成22年度全国学力・学習状況調査」を見ると、毎日朝食を摂る児童生徒ほど、学力調査の得点が高い傾向があることがわかる。脳で使われているエネルギーはブドウ糖から補充されるが、肝臓に蓄えられているブドウ糖は約12時間分しかなく、朝食でブドウ糖をはじめとする様々な栄養素を補給して、午前中しっかりと活動できる状態をつくることが大切だと補足している。

⇒【グラフ】はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=894614

朝食の摂取状況と学力調査の平均正答率との関係(小学6年生)

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 実際に学校現場では「早寝早起き朝ごはん」の重要性が謳われ、「朝ごはんをしっかり食べることが大切だ」と子どもは教えられる。しかし、貧困のために朝食を食べられない子どもが存在することは、学力向上の阻害に拍車をかける。

 また子どもの貧困は「健康格差」まで生んでしまう現状があることを紹介している。本書で登場する養護教諭の河野悦子(仮名)は、家庭環境の変化のひずみは子どもの心や体に表れるのだと力説する。

「うちの学校は7割の児童が虫歯で、4割は視力が低下しています。でも、お金がかかるから歯医者に行けず、眼鏡を買えない家庭も少なくないんです。虫歯の子は全国的には減っているんですが、うちの学校は多い状態が続いています」

 こうした厳しい生活環境の背景の一つは、非正規雇用の拡大などによる、子どもを持つ若い親たちの労働状況の悪化だろう。日本の場合、貧困の具合によって政府からの子育て世帯への援助は限られている。貧困家庭の収入が低いのは親たちが働かないからではなく、ほとんどがワーキングプアであるという状況だ。

 子育て世帯が経済的に困窮していても、児童手当などの現金給付を十分に受けられれば、子どもの貧困を防ぐことができる。他の先進国が子どもの貧困率を低く抑えることができているのは、日本に比べて現金給付が潤沢なためだ。

 日本の将来は、いったい誰が支えていくことになるのだろうか。

<取材・文/北村篤裕>

子どもの貧困連鎖

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