「これが南米美女の全裸か。美しい。美しすぎる!」――46歳のバツイチおじさんは羨ましすぎる体験をした〈第35話〉
10分ほど経つと、ガルシアと糞タコ野郎が俺の席のところにやって来た。
ガルシア「ごっつ、どうしたの?」
俺「少し疲れちゃって。1日2回のヨガが結構ハードだからかな」
ガルシア「ごっつも一緒に踊らないと楽しくないじゃない」
そう言って、ナチュラルに俺の手を握った。
「ガルシア、君は魔性の女か」
そう言いそうになって、俺は口をつぐんだ。
その後、ガルシアはビールを注文し、勢いよく飲んだ。
相変わらず可愛い。
糞タコ野郎はガルシアにまとわりついて離れないでいる。俺とガルシアが話をしないようにガードしているのだ。タコと目が合うと、俺の目を見てニヤリと笑った。
「あいつ、マジでムカつく」
そして、ガルシアを自分のほうに向かせ、改めてじっくり口説き始めた。
俺は二人を無視し、一人でボーっとダンスフロアを見つめていた。
しかし、心は嫉妬で狂っていて、なんだか怒りも込み上げている。
「悲しすぎる……」
随分ヘコんできた。もう帰りたい。
それでも、もしかしてワンチャンスが来るかもしれない。
そこは、「あきらめたそこで試合終了だよ」の精神で頑張り、なんとか踏み止まった。
二人の様子を見ると、タコが真剣にガルシアに話しかけ、ガルシアは時折笑っている。
「ところで、タコは何て言って口説いてるんだろう?」
ふと素朴な疑問が湧いた。
こいつ、どんな口説き文句でガルシアを笑わせているのか。
今まで苛立ちが先行して気づかなかったが、ここに来て「敵を知る」ことに全精力を傾けようと試みた。
俺は耳をそば立てて聞いてみた。
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