「これが南米美女の全裸か。美しい。美しすぎる!」――46歳のバツイチおじさんは羨ましすぎる体験をした〈第35話〉
ガルシア「ごっつ、助けて!」
何が起きたんだ? タコ野郎が何かしたのか?
俺「どうした?」
ガルシア「遠くのほうを見て! 3つの懐中電灯がこっちに向かって近づいて来てる。私、裸なのどうしよう……」
ガルシアは少しパニックになっていた。
俺「大丈夫だよ、ガルシア。安心して。俺が彼らと話をしてこのビーチから連れ出すから」
ガルシア「本当?」
俺「うん。まかせといて!」
俺は急いで短パンとTシャツを着て、立ち上がった。
そして、灯りのある場所へ走って行った。
近づいてみると、3人のインド人が懐中電灯を持って近づいてきた。
俺「ハイ! どうしたの?」
インド人「友達を探してるんだけど、いないんだよ」
俺「友達?」
インド人「夜のビーチに男4人で海に来たんだけど、友達が一人見つからないんだ」
俺「大丈夫? 波に巻き込まれてない?」
インド人「それは大丈夫だと思う。海には近づいてないから。君が来たほうに誰かいた?」
俺「俺の友達がいるけど、それらしき人物は見なかったよ。俺らは2時間くらいここにいたから、もし来ていたら、懐中電灯の明かりでわかるはずだから」
インド人「そうか……じゃあ崖の上かなぁ」
俺「俺、崖の上に戻るけど、一緒に行く?」
インド人「うん。そうするよ。どこの国の人?」
俺「日本人だよ」
インド人「おーー珍しいな」
こうして、俺はインド人と仲良くなり、一緒に高い崖を登った。そして、ガルシアとの距離を引き離すことに成功した。
俺は崖の上からガルシアとタコ野郎がいるビーチを見下ろした。
相も変わらず美しいビーチだ。
あそこには全裸のガルシアとタコ野郎が二人っきりで座っている。
戻らないと何が起きるかわからない。
ガルシアは俺が戻るのを待ってくれているはずだ。
でも――――。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ふと、脳内iTunesには薬師丸ひろ子の『あなたを・もっと・知りたくて』がかかった。
♪~もっともっと あなたを
もっともっと 知りたい
いま何してるの? いま何処にいるの?
そして愛してる人は誰ですか?
すると、心の中のりゅう子が俺に言った。
りゅう子「ねぇ、ごっつ。もう、あそこには戻らなくてもいいんじゃない?」
俺「……うん。なんとなく、俺もそう思ってたとこなんだ」
りゅう子「やっぱり」
俺「途中から気づいてたんだけど、ガルシアとタコ野郎はたぶん惹かれ合ってる」
りゅう子「よく言った。偉いわ。あんた、よく頑張った」
俺「ありがとう、りゅう子」
なぜそう思ったのか自分でもわからない。
どこからそう思っていたのかもわからない。
だけど、自然とそんな気持ちになっていた。
宿に戻る前、もう一度ガルシアのいる場所を崖の上から眺めた。
もちろん彼女の姿は遠すぎて見えない。
ガルシア、ありがとう。
君と一緒にいられて、すごく、すごく楽しかったよ。
本当に、ここでお別れだ。
スペシャルな思い出を胸に、気を付けて帰国してね。
俺は空を見上げ、改めてフルムーンを見た。
あんなに綺麗に見えていた月が、なぜか悲しげに笑っているかのように見えた。
次号予告『インドをさすらう失恋おじさんに新たなる試練が!? 謎の新展開は予測不可能!』を乞うご期待!
1969年大分県生まれ。明治大学卒業後、IVSテレビ制作(株)のADとして日本テレビ「天才たけしの元気が出るテレビ!」の制作に参加。続いて「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)の立ち上げメンバーとなり、その後フリーのディレクターとして「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)「トリビアの泉」(フジテレビ)をチーフディレクターとして制作。2008年に映像制作会社「株式会社イマジネーション」を創設し、「マツケンサンバⅡ」のブレーン、「学べる!ニュースショー!」(テレビ朝日)「政治家と話そう」(Google)など数々の作品を手掛ける。離婚をきっかけにディレクターを休業し、世界一周に挑戦。その様子を「日刊SPA!」にて連載し人気を博した。現在は、映像制作だけでなく、YouTuber、ラジオ出演など、出演者としても多岐に渡り活動中。Youtubuチャンネル「Enjoy on the Earth 〜地球の遊び方〜」運営中
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