安倍首相「自衛隊の憲法明記」発言で9条はどう変わるか?――憲法学者が3つの学説から検証
5月3日の安倍首相の憲法改正発言は、改憲問題における雰囲気を一変させ、にわかに憲法改正論議が加速している。
特に「自衛隊の憲法明記」について、各方面から賛否の意見が挙がっている。では、実際に自衛隊はどのように憲法に明記できるのか? この度、憲法学者の中央大学名誉教授の長尾一紘氏に話をうかがった。
安倍首相の憲法改正発言は、極めて強いインパクトを与えました。改憲問題について、改憲派も護憲派も、多くの論者は強い関心を持ちながらも、あきらめのような、惰性的な雰囲気の中におりました。それが安倍発言によって、にわかに現実の問題としてこれを見るようになったのです。この安倍発言を踏まえて、9条改正に関する問題をみることにしたいと思います。
安全保障の憲法問題としては、「集団的自衛権の合憲性」と「自衛隊の合憲性」の2つの重要な課題があるといわれてきました。
「集団的自衛権の合憲性」については、安倍内閣が平成26年の閣議決定で、それまでの政府見解を変更したことにより、長年政府を悩ませてきた問題を解決しました。
もう一つの「自衛隊の合憲性」については、学説は3説あります。
A 自衛隊は「軍隊」である。したがって憲法違反である。
B 自衛隊は「軍隊」ではない。したがって合憲である。
C 自衛隊は「軍隊」である。日本国憲法は自衛のために軍隊をもつことを禁止してはいない。したがって合憲である。
Aは、護憲派の憲法学者の多数が主張するところです。政府見解は、Bに近いとみることができます。政府において、自衛隊は普通の意味での軍隊ではない、などと説明されます。Cの論者は、自衛隊は普通の意味での軍隊である、と主張します。
ちなみに長尾氏は、「外国人への地方参政権付与合憲説」を日本で最初に紹介した学者である。だが、その後、理論的反省と民主党政権時代の政策への危機感から、自説を撤回し、「外国人参政権違憲」の著書、論文を発表したことで、一躍注目された。
自衛隊の合憲性、3つの学説
『世界一非常識な日本国憲法』 こんな非常識な憲法は日本だけ!「外国人参政権合憲説」を撤回した著者だから書けた、憲法の欺瞞を粉砕する一冊! |
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