“秋でもTシャツおじさん”に女性から「キモい」の声…男性が反論、ファッション関係者のアドバイスも
中途半端な気温となるこの時季、上着は羽織らずにTシャツ1枚で外に出る男性も多いのではないか。ちなみに中年メタボで暑がりの記者は年中、無地のVネックを愛用している。休日はもちろん、取材のない日はオフィスでもTシャツ1枚の状態になる。だが先日、ある女性から厳しい声を浴びせられた。
「もう秋なのにTシャツだけなのはおかしい。さらに、無地のVネックって男性がよく着ていますけど、ぶっちゃけ“肌着”ですよね。人前に出ていること自体が恥ずかしくないんですか?」(30代後半・会社員)
そこで改めて周囲の女性に意見を求めてみたところ「季節感がヘン」「9月の後半を過ぎたらTシャツはインナーだと思う」「乳首が浮き上がっている男性を見ると気持ち悪い」「ピチピチのサイズの無地Tシャツだと、腹が目立ってだらしない」など、辛辣なコメントがあがった。
では、私たち“秋でもTシャツおじさん”は、どうしたらいいのだろうか。ファッション誌のスタイリストやライターに聞いてみた。
とはいえ、男性側にも言い分はある。シンプルで何にでも合わせやすい無地のTシャツは、数年前より“定番アイテム”となっている。女性側の「肌着では?」という意見に対し、普段はオフィスでも私服で働くITベンチャー企業の男性が反論。
「僕たちが着ているものは肌着ではありません。たとえば、ユニクロでもエアリズムやヒートテックは素材が薄くて肌着だと思う。でも、僕たちが着ているものは生地が厚くてしっかりしているもの。ちゃんと選んでいるんですよ」(36歳・IT関係)
ひと言で“無地のVネック”と片付けることはできない。無地のVネックをひたすら愛する、ライフスタイル雑誌のライターA氏がこう力説する。
「見た目は同じかも知れませんが、メーカーによっても全然違うんですよ。僕はヒップホップが好きなのですが、着るならアメリカ発のヘインズかな。ファッションアイコン的な有名アーティストもドン・キホーテで売られている3枚セットで約1000円のヘインズを愛用していることを公言していました。少し生地が薄くてヘタりやすいのがデメリットですが、なにより安くて、汚れたら気兼ねなく捨てられる。そして新品を買うというルーティーン。飽きないのかと思われるかも知れませんが、常に清潔でフレッシュ(新鮮)な気分でいられます。ラルフローレンのワンポイントロゴのTシャツなら、さりげなくアピールできる。特にメーカーにこだわりがなければ、イトーヨーカドーのガレージセールで1枚500円とかのヤツもなかなか丈夫で良いですよ。ちなみに、ユニクロなんかはコスパが高くてニューヨークでも人気」
そもそも、なぜココまで男性が無地のVネックを好むのか。記者自身の意見を述べると、「とにかく無難」だからに尽きる。
私は、かつてメンズファッション雑誌でも活動していた。その経験から導き出した答えが無地のTシャツだったのだ。その理由は、無地やワンポイントのTシャツは過度な主張がなく、だれとでもフラットな立場で付き合うことができる。「第一印象が大事」とはよく言うが、キャラ系のTシャツを着ていたら、初対面の人には「ああ、この人はこのアニメのキャラが好きなんだ」というイメージが植え付けられる。それがポジティブに受け止められれば良いが、そうでない場合もあるだろう。
たとえば、1日のなかで様々な人たちと接する機会があると思うが、Tシャツのプリントがたまたまライバル社のロゴに似ていたり……極端な例かもしれないが、アパレル業界において、それが原因で痛い目にあった関係者なども実際に見た。知らぬうちにネガティブな印象を与えないために、なによりも「無難」なデザインが無地のVネックだったのだ。
しかしながら、いくら反論しても女性にはなかなか理解してもらえないかもしれない(汗)。問題なのは“季節感”だ。私たちはいま、どうするべきなのか……。
ファッションの専門家たちにアドバイスを聞いてみたい。雑誌を中心にメンズ&レディースの両方でスタイリストとして活動する吉田圭佑氏がこう言う。
「女性は特に季節感を重要視します。季節の先取りは良いのですが、いま夏モノに後退するのはNGですね。シャツを着て、暑いときは腰に巻いたり、そんなにかさばらないので畳んでバッグに収納するのが◎。具体的には、デニムシャツやチェックシャツ。タータンチェック柄が今季は流行っていますね。カラーは、季節感を重視するならボルドー(落ち着いた赤)やグリーン、ブラウン系。Tシャツ1枚にこのような色味のアイテムを加えれば夏に後退することなく、秋の雰囲気を演出できるのでオススメです」
しかしながら、トレンドに疎い私たちおじさんは、ひとつの正解を見つけたときに、そればかりに頼りがちだ。無地のVネックなどはその最たる例だろう。では、サコッシュバッグをこの季節に使うのはどうなのだろうか。
“秋でもTシャツおじさん”は「キモイ!」に男性が反論
スタイリストやファッション誌ライターがアドバイス
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明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
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