音痴をつらぬく!

 忘年会シーズンも佳境をむかえ、カラオケの苦手なアナタなんかは、さぞかし辛い思いをしているのではなかろうか? 自分にマイクが回って来る順番を「来ないで、来ないで!」と祈りながら、来たらしかたなく無難な曲を無難に唄いこなして次にマイクを渡し、ひたすら存在感を消すことに専念する……。そんな不毛な繰り返しで神経をすり減らすアナタに、ちょっとイイ動画をお届けしたい。

 そもそもカラオケが苦手な人は、カラオケのなにが苦手なんだろう? いろんな要因があると思うが、一つに「プロの歌手でもない自分の歌を他人に無理矢理聴いていただくのは忍びない」というのがあるのではないか。誰も聴いちゃいないのに、黙々(?)とモニターの歌詞をなぞって声を張り上げる虚しさ、悲しさ……。気持ちはすごくよくわかる。そういうナイーブなメンタルの持ち主は、“酔いの力”くらいで、ある意味自意識過剰な羞恥心を払拭することはできないのだ。逆に言えば、そんな彼ら彼女らは、周囲の人たちに心底楽しんでいただける歌を唄いあげることのみでしか、自分もカラオケを心底楽しむことができないのである。じゃあ、具体的にはどーすりゃいいのか? いくつかの対策を挙げてみたい。

(1)プロ並みの超絶的なテクニックで唄いあげる

 もっとも正攻法で、スベる確率も低い注目の集め方である。ただ、コレが簡単にできりゃ苦労はしない。もちろん、ある程度の修練が必要だし、そもそもカラオケの苦手な人が、いったいどこでそんな修練を積めばよいのか。夕暮れの河川敷? カラオケ教室? 結局は、カラオケに足繁く通いながら場の空気をモノともせず、同じ曲を延々と練習し続ける強靱な(無)神経が欠かせないのだ。ちなみに僕は、歌が超絶的に上手い人が、上手さのあまりメロディラインを勝手にアレンジしてしまうケースが一番ウケる。

(2)替え歌にする

 歌詞を自分流に一部(もしくは全部)創作するパターンである。もっとも一般的、かどうかは知らないが、

「いい日〜♪ 朝勃ち〜♪(原曲は「旅だち」)」

みたいな感じのものだ。ただ、コレは相当なセンスを問われ、しかも余程の声量と滑舌がなければ、もはやアルコールでべろべろの周囲からは、あっさりスルーされてしまう危険性が高いので、お手軽ではあるけど正直オススメはできない。

(3)面白い曲を選ぶ

個人的には、レインボーマンの「死ね死ね団のテーマ」なんかがオススメだが、スベったときは、最後まで唄いあげるのが辛くてたまらない(ちなみに「死ね死ね団のテーマ」は約5分)。なるべく短い曲をチョイスするのが無難といえよう。

(4)オーバーな振り付けやチンポ丸出しとかのパフォーマンスを加える

 動きが派手なぶん、酔っ払いを前に比較的高い確率で注目を集めることができる、じつは手堅い方法。ただ、コレが簡単にできれば、やはり苦労はしない。あと、チンポ丸出しは替え歌以上にセンスを問われる点も忘れてはならない。ちなみに僕が過去、チンポ丸出しで笑えたのはたった一度だけ。曲が始まると同時に、その彼はトイレに入り、中にあった1m弱の大きな壺を、全裸で黒人ラッパーのラジカセみたいにかかえながら登場。しかもチンポはきちんと勃起させていた。出すならせめてこのくらいのひねりをもって臨んでいただきたい。

(5)あえて音痴を貫き通す

 コレが今回、僕がもっともオススメしたいカラオケ必勝法。ただ、わざとらしさが少しでも前面に出たらアウト。スベるどころか嫌悪感さえ周囲に与えてしまう。まったく聴いたこともない曲ではなく、何度か聴いたことのある曲を、なるべく自然に、自分の音感とリズム感を信じて思いっきりよく、決して恥ずかしがらずに唄いあげるのがポイント。

 ドラムをたしなむ者として、一言偉そうなことを言わせていただくと、

上手いドラマーは、運動神経に裏付けられた優れたリズム感の持ち主

だが、

いいドラマーは、運動神経を超越した自分だけのリズム感の持ち主

なのだ。

 ぜひ参考にしていただきたい案件をいくつか拾ってきた。遅ればせながら、少しでもアナタが年末のカラオケラッシュで感じているストレスの解消にお役立てできれば、幸いである。

【参考映像】
藤波辰爾 マッチョドラゴン

http://www.youtube.com/watch?v=bGT3EdTuBco&feature=related

藤波辰爾 歌へたな王座決定戦
http://www.youtube.com/watch?v=8ToBbxOrD6k

ジャンボ鶴田 ローリング・ドリーマー
http://www.youtube.com/watch?v=b-APO9JsAHQ&feature=results_main&playnext=1&list=PL90FA93019722421F

斉藤静六
http://www.youtube.com/watch?v=nt4-ONWOh98&feature=related

オマリーの六甲おろし
http://www.youtube.com/watch?v=-O-lJN995WE&feature=related

PROFILE

山田ゴメス
山田ゴメス
1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
OL、学生、フリーター、キャバ嬢……1000人以上のナマの声からあぶり出された、オヤジらしく「モテる」話し方のマナーとコツを教えます

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