ユウキロック『M-1グランプリ2016』全ネタレビュー 「スーパーマラドーナと和牛がかわいそうに思えた」
漫才を開始して「おじいちゃんのスペック」というフレーズで少しの笑いはあったものの、1分5秒までネタ振りに費やす2人。遂に石田君が竹内君の頭を張り飛ばす。拍手しながら、大笑いする観客。ここから「カミナリ」劇場の幕が上がる。1分5秒の間に観客の脳へ刷り込ましたネタ振りを巧みに使い、笑いを作っていく。石田君が竹内君の頭を8発張り飛ばしてネタ終了。得点441点。審査員5人中3人が「アキナ」より高得点をあげているものの、上沼恵美子さんの採点が「アキナ」より8点も低く、それが響いた。大きな衝撃を与えた漫才スタイルであり、破壊力も凄まじかったが、1発目の張り手が一番の笑いであり、そこから徐々に落ちていったところが敗因だったように思う。どんなに高い山でも落ちていくと印象が悪く見える。4分のネタを作る上で「山場」の作り方が非常に重要だと感じた漫才だった。巨人師匠が言っていたようにこのスタイルならば後半にかけてボケ数を増やして畳み掛けることも可能だと思う。
③相席スタート
山崎さんが自慢話として、タイプの人に「野球で例えると振ってしまう球やな~」と言われたというところから始まり、そこから合コンの風景を野球の打者となって例えて紹介する漫才を披露した。2人らしい漫才であったが得点は伸びず436点。最下位に沈んでしまう。なぜここまで点数が伸びなかったのか? 最初に山崎さんが「ちょうどいい感じのブス」というキャラクターだということを伝えていない。その上で自慢話として上記のことを伝えるのだ。「これがなぜ自慢話となるのか?」ということが明確ではない中で、合コンを野球の打者で例えるクダリが始まる。上手く例えられた台詞に爆笑したが、大きな枠組みで捉えてみれば「普通の恋愛ネタ」だと審査員に思われたのかもしれない。最後は下ネタを言ってまで上手いこと言って締めたが、「今どんな気持ちで言うてんの!」というひと笑いがあって終わってもよかったと思う。
⇒試し読みも出来る! ユウキロック著『芸人迷子』特設サイト
1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。著書『芸人迷子』
⇒試し読みも出来る! ユウキロック著『芸人迷子』特設サイト(http://www.fusosha.co.jp/special/geininmaigo/)
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『芸人迷子』 島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。 |
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