ユウキロック『M-1グランプリ2016』全ネタレビュー 「スーパーマラドーナと和牛がかわいそうに思えた」
1~3番手の漫才師と違いアップテンポな漫才の2人。漫才開始12秒でひと笑いを掴む。そして、今回の「銀シャリ」は今までの「銀シャリ」と少し趣が違う。今までの「銀シャリ」は鰻君がボケて、橋本君がツッコむ。それも長くツッコむ。橋本君の良さは際立ったが、山のない平坦な漫才だった。しかし、今回は「関連性のないドレミの歌を統一感を出そう」という主題を元に鰻君が進めていく。その重要な部分で鰻君はボケていないのだ。自分なりの見解を提示する。それに対して、おかしいと橋本君は言う。ツッコミのように見えるが、橋本君の考えを提示しているのだ。まさに主義と主義がぶつかっている。だからこそ相乗効果でどんどん笑いが続き大きくなっていく。終盤、「ファ」で爆発、「ス」で畳み掛けて終了。得点470点。完璧な出来で最終決戦へ進出した。
⑤スリムクラブ
いつものスローテンポのように見えたが、2010年の第10回大会で大爆発をしたあの時よりはテンポが早く見えた。前の出番で高得点をあげた「銀シャリ」が影響したのかもしれない。真栄田君が放つ面白いボケ台詞に対して、内間君の返し台詞も面白いから「スリムクラブ」はスローテンポでも爆笑をかっさらうことができたのだが、今回の内間君は「はい?」「何のようですか?」という何でもない一言が多く、もったいないという印象だった。終盤の「世界はひとつじゃないから」という素晴らしい台詞を吐く真栄田君に内間君の一言で笑いに変えて締めてほしかった。それでも家系図を「家族のトーナメント表」と例えたのには腹を抱えて笑った。もっとウケてもいいと思った。得点は441点。
⇒試し読みも出来る! ユウキロック著『芸人迷子』特設サイト
1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。著書『芸人迷子』
⇒試し読みも出来る! ユウキロック著『芸人迷子』特設サイト(http://www.fusosha.co.jp/special/geininmaigo/)
記事一覧へ
『芸人迷子』 島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。 |
記事一覧へ
『芸人迷子』 島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。 |
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ