ユウキロック『M-1グランプリ2016』全ネタレビュー 「スーパーマラドーナと和牛がかわいそうに思えた」
コントを主軸とする2人の漫才は決勝の舞台でも「立ち話のようなコント」だった。東口君が話す中学時代の思い出話を「漫画のようだ」という森田君。そして、森田君の中学時代の思い出話を聞いた東口君はそれを「能のようだ」という。能を知らない森田君は戸惑いを見せ、さらに話はおかしな方向へと進んでいく。東口君の台詞はほとんど「能やん」だけで進めていく度胸。中盤から終盤に向けて、巧みにずらしてくる辺りがさすがの経験値だと思う。揺れる感情を森田君は上手く演じてみせた。公園のベンチが用意されて、そこに座ってこのネタをやれば、それはコントにもなる。だからこそ、「さらば青春の光」らしい漫才ができたと思う。得点448点。
⑨和牛
敗者復活戦から勝ち上がってきた2人は、温存していた「ドライブデート」のネタで勝負してきた。よくある設定だが、2人のやり取りはテンポもよくボケも面白い。途中、「ゴミを捨てる」ボケも後半の「お弁当」にかかっていて物語もしっかり作っている。ボケ担当の水田君の狂気的なボケに対して、ツッコミ担当の川西君はそれほど声を張り上げないのだが、抑揚をつけてしっかりツッコむ。上手すぎる。こんな若手芸人はなかなかいない。文句のつけようがないネタだった。得点469点。銀シャリの1点差の第2位で最終決戦へ進出を決める。
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『芸人迷子』 島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。 |
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