ケース2、恋愛観をしつこく聞かれる
アパレル企業へ新卒で入社したBさん(25歳・男性)が就職活動中に遭遇したのは、「恋人」に関する圧迫面接だ。
「中小企業のメーカーの役員面接で聞かれたのが、『
恋人の有無』でした。会社への志望度や、他社の選考状況などを聞かれると思って構えていたので、正直拍子抜けしましたね」
素直に、「今はいません」と答えると、面接官から真顔で「いつからいないのか」「気になる女性はいないのか」「いるなら何故アプローチしないのか」など
プライベートな恋愛事情を矢継ぎ早に詰問されたという。
Bさんは、面接官が場の雰囲気をなごますためにジョークで言っているのだろうと受け取っていたが、恋愛事情に関するツッコミは10分以上続いたという。ウンザリしていたところ、極め付きはこうだ。
「君になぜ恋人がいないのかわかる?」
「……(そ、そんなん知らんがな!)」※本記事で2度目!
果たして、それに対する面接官の答えとは。
「情熱が足りないんだよね。仕事も同じでしょ」
そのとき、心のなかでは仕事と恋愛は別だと思ったそうだが、何も言えず……。結局ナゾの説教をされて面接は終わった。Bさんはひどく傷ついたという。
志望動機や自己PRではなく、個人的な事情ばかり聞かれたことに違和感を覚え、知人に相談してみたところ、「プライベートなことを根掘り葉掘り聞くのは
立派なパワハラで、立派な圧迫面接だ。
100%ブラック企業だから、内定をもらっても辞退したほうがいい」とアドバイスをされたそうだ。
この企業からはどういうわけか内定通知をもらったそうだが、友人の助言通り辞退したとのこと。そして、Bさんは圧迫面接のなかった現在の企業へ就職することに決めた。
就活生の間では、圧迫面接=ブラック企業が常識になっている
そのほか、転職活動で出版社を受けた際、延々と現職を否定されたり、ガス会社の事務職の面接なのに、「お世話になっております!」と大声で叫ばされた挙げ句、「声が小さい!!」と体育会系の部活さながらに怒られる、といった圧迫面接を経験した人もいた。
面接を控えている就活生や転職希望者に、これらの情報は少々酷かもしれない。しかし、今回取材した中で多かった意見は、「
最近、圧迫面接をする企業は減ってきている」というものだった。
その背景にはネットの普及がある。企業側は、SNSに「
◎◎社に圧迫面接をされた」と投稿され、マイナスイメージが広がってしまうことを恐れているのだ。圧迫面接を受けたとき、「録音しているんで」と逆にプレッシャーをかけ、その場で謝罪させたというケースも話題になった。
就職活動を1年前に終えたばかりの新卒社会人にも取材してみたが、「
大手ほど圧迫面接などの悪い噂を聞かない」との声があがっていた。いまの時代、圧迫面接はもう古い?
【三崎りの】
レースクイーンをする傍ら、フリーライターとしても活動。「日刊SPA!」「週プレNEWS」などで執筆中。ミス東スポ2017ファイナリスト。Twitter→
@neneeeeee_cha
<取材・文/三崎りの、イラスト/デリー横山>