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「安倍首相がトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦」の話が今さら出た舞台裏

対北朝鮮外交に対する「深い懸念」

 実は米国内で、対北朝鮮外交に対するトランプ政権の手腕への疑念が高まっているのだ。  例えば米下院のエンゲル外交委員長とスミス軍事委員長、シフ情報特別委員長(いずれも民主党)は2月21日、トランプ大統領に連名で書簡を送った。トランプ政権が昨年8月に成立した国防権限法で定められた北朝鮮の核開発に関する議会報告を行わず、議会を無視する形で北朝鮮との非核化交渉を進めていることに対して「深い懸念」を表明したのだ。
米朝首脳会談

2月に2回目の米朝首脳会談が開かれた。トランプ大統領側はウラン濃縮プラントや弾道ミサイル施設などすべての核関連施設の申告も求めたが、金正恩朝鮮労働党委員長側は不十分だったため、朝鮮半島の非核化に向けた合意に至らなかった(写真:Dan Scavino Jr.公式Twitterより)

 結局、2月27、28両日に開かれた第2回米朝首脳会談では、朝鮮半島の非核化に向けた合意には至らなかった。  こうした議会の不満をなだめるために、トランプ大統領は「あの安倍首相だって、対北朝鮮交渉を評価してくれているんだ」と発言したと見るべきだろう。  そこからは、安倍首相に対する米国の政治家たちの評価が高いからこそ「安倍」の名前を使ったというプラスの側面と、北朝鮮の核開発阻止交渉がうまくいっていないというマイナスの側面が浮かび上がってくる。  安倍首相はせっかくトランプ大統領に「貸し」を一つつくったのだから、北朝鮮に変な妥協をしないよう強く迫るとともに、非核化できなかった場合も想定して、核抑止力についての議論を日米間で始めてもらいたい。’62年生まれ。九州大学文学部哲学科を卒業後、月刊誌編集長、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、外交・安全保障の政策提案に取り組む。著書に『日本は誰と戦ったのか』(ベストセラーズ)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP新書)など
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