更新日:2020年09月08日 16:45
ライフ

マスク転売で300万円稼いだ男。批判の声にも動じず…

高額でも買う人がいるのが悪い

 2020年2月になると、マスクの高額転売に対して、SNSを中心に批判の声が広がったが、有田さんは気にも留めない。 「モノの価格は需給で決まる。法外な値段でも買う客がマスクの値段を釣り上げていたのでは? それに、お金儲けのチャンスが目の前に転がっているのに、取りにいかないほうがおかしいですよ。買うのは老人が多いですね。老人は貯金も多いんでしょ? お金が余っているから、高くても買うんですよ。俺が経済を回してやっているんです」  フリマアプリ各社が高額出品に対して設定価格を引き下げるなど自主規制を強化し、3月上旬には高額出品を削除し始めたが、有田さんはこれまでにマスク転売だけで300万円超を売り上げていた。3月15日、マスクの高額転売が政令で禁止されフリマアプリ、オークションサイトからマスクの出品が消えた。違反は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科される厳しい内容だが、有田さんの顔に焦りの色はない。 「これまで稼いだお金は自分の老後資金にもできます。オークション運営会社は手数料を儲け、客はマスクが手に入った。まさに『三方よし』でしょう。今後、マスクがダメなら、ほかのもので儲ければいいだけ。消毒用のアルコールジェルも大量に仕入れていたので、今はそちらにシフトしています。  法令施行後も通販サイトでは相変わらず高値で販売されていますが、転売とそうでないものは、どうやって区別しているんですかね? 給料は1か月も未払いだし、寮も出なければならない。今、本当にお金が必要なんです。まだまだ稼いで、退職金にするつもりです」  コロナで仕事を失う人が世界中に続出している。有田さんのように自暴自棄になり、不法行為に手を染めてしまう人もいるだろう。これも心の貧困の弊害だが、決して同情してはいけない。 <取材・文/週刊SPA!取材班> ※この記事は4月30日発売、「年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-」(扶桑社新書)より一部抜粋したもので構成
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ほかにも東京で生きる16人の叫びを収録した「年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-」(扶桑社新書)は4月30日発売。これを読んでもあなたは、貧困を自己責任と言いますか?

年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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