「第1回M-1グランプリ」準優勝コンビのその後
芸人迷子』を完成させたユウキロック本人を直撃した。
――まもなく今年のM-1決勝ですが、ご自身が出場されていた初期のM-1と現在のM-1にはどういった違いがあるとお考えですか?
ユウキロック:今の出場者はともかく大変ですよ。出場組数でいえば、僕らの頃の準決勝が今の準々決勝にあたるわけで、そこからもう2回勝ち上がらないと決勝にいけないわけです。いろんな事務所のネタ見せにいくのですが、『君ら、ひょっとしたらひょっとするで』というコンビも3回戦止まりなんですよ。で、そのコンビが披露したネタを見たら、俺がネタ見せの時に見たときと違うものをしている。今は3回戦と準々決勝のネタが動画配信されているので、最低でも2本は面白い漫才を持っておかなければならない。それをどのタイミングで出すのか? こんなこともうまく考えておかないといけない。ホンマに大変です。あと、今は人と違うネタをしようと、そればっかりに躍起になっているコンビが多い気がします。それはいいのですが、うまくないんです、漫才が。技術がないコンビが多くなっていると思います。たとえば、去年、優勝したトレンディエンジェル。『ハゲ』ネタという部分が前面に出ているけど、彼らはテンポも良くて、技術力も高いんです。表面だけでしかM-1を捉えてないコンビは多いですね。結局は、技術がないと見せたいものもちゃんと見せられない。これに気づかないと決勝にもいけないでしょうね。
今週末に決勝を迎える「M-1グランプリ2016」。M-1は今大会で12回目を数え、3503組の頂点を目指す熾烈な争いが今年も繰り広げられている。
そんなM-1の記念すべき第1回大会で準優勝するなど、2000年代のお笑いブームを牽引したのが、「ハリガネロック」だった。2002年には「第4回 爆笑オンエアバトルチャンピオン大会」優勝、2003年には渋谷公会堂で史上初の漫才ライブを成功させるなど、人気と実力を兼ね備えたコンビとして、今なお記憶されている。
そんな彼らが突然の解散を発表したのが2014年2月25日。同日、ボケ担当だったユウキロックがメールマガジン『水道橋博士のメルマ旬報』にて連載「芸人迷子~終わってる、いや終わってない~」をスタートさせる。コンビ解散に至るまでの相方との軋轢や心情の変化などをリアルに綴るとともに、影響を受けた大御所やNSCの同期、後輩らとの濃密なやりとりが事細かに紹介され、お笑い関係者はもちろんのこと、広く注目を集めることとなった。
このたび、2年3か月にわたった連載が完結、12月上旬には大幅に加筆修正のうえ、単行本化されることが決定。M-1への愛憎から書籍執筆中の苦悩、芸人仲間からの反響まで、『
1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。著書『芸人迷子』
⇒試し読みも出来る! ユウキロック著『芸人迷子』特設サイト(http://www.fusosha.co.jp/special/geininmaigo/)
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『芸人迷子』 島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。 |
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