罪と罰(上)

 私が夜、ある友人の家へ遊びに行ったときの話だ。

 ちょっとした宅飲みパーティーがあるということで、私はそこに急いで向かっていた。

 その日、私は別の飲み会にも顔を出してきた後で、最寄りの駅に着いた頃は、すでに午後の11時を過ぎていた。

 友人の家は駅から延びる真っすぐの道沿いにあって、わかりやすいのだが、徒歩だと15分はかかってしまう、距離的には微妙な場所だった。

 最終のバスがなくなったのか、駅前ロータリーのタクシー乗り場には行列ができている。

酔い醒ましにいいか、

と歩いて行くことにした。しかし、まもなくこの安易な選択を私は少なからず後悔することになる。

 駅を離れて8分くらい経ったあたりだろうか。私は急激に、猛烈に便意をもよおした。

駅に戻ってするべきか、友人の家まで行ってさせてもらうべきか?

 判断に迷う地点である。周囲にコンビニなどは見当たらない。10歩進んで、

やっぱ駅前に戻ろう!

という結論に至った。万一お漏らししてしまった場合、目撃者(あるいは鼻撃者)は
知り合いより、見知らぬ人のほうがマシと考えたからだ。

 方向転換、とほぼ同時にプヒ、と尻が絶望の音を鳴らす。
肛門の周辺は、あきらかにウエットだ。今日の飲み会は焼き肉だった。私は肉にあまり火を通さず、ほとんど生焼けの状態で口に運んでしまう。マッコリも、しこたま飲む。たから私は焼肉屋に行けば決まって腹がゆるくなる

もう駅までは持たない……

観念した。

 まわりを見渡してみると、うしろの方向、つまり友人の家がある方向に小さなねぎ畑があった。23区内とはいえ、まだ田園風景ののどかさを残した地域だ。注意して見なければ人がいても気がつかない、かもしれないぐらいには、暗い。

 肛門を引き締めたつま先走りで私はその畑に近づき、申し訳程度にかかった防犯ネットをくぐって不法侵入する。そして、震える手でズボンとパンツを下ろして、規則正しく整列したねぎに同化するかのようにしゃがみ込み、一気に用を済ます。ほ〜っ……とつく長い一息は、まるで身体中の毛穴から染み出る感じだ。

 ただ、問題はむしろここからだった。

(つづく)

2010.11.20 |  2件のコメント

PROFILE

山田ゴメス
山田ゴメス
1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
OL、学生、フリーター、キャバ嬢……1000人以上のナマの声からあぶり出された、オヤジらしく「モテる」話し方のマナーとコツを教えます

“罪と罰(上)” への2件のフィードバック

  1. しーま より:

    早く続きが読みたい!
    わたしは、深夜ひとりラーメンをして帰る途中、
    もよおしました。
    高級マンションの物陰にしてやろうと試みましたが、
    一応乙女だし・・・でも大ネタにはなるな・・・でも・・・と揉んだ結果、
    外ではやめました。
    しゃがみこんで唸っているところを、運よくライブハウスのお兄さんが拾ってくれて、
    そのライブハウスで約2時間籠もりました。
    今度、お礼しに行かなきゃ~。

    というわけで、続きを期待しています、

  2. ごめす より:

    ありがとうございます。つづき、アップしておきましたので、ゼヒ読んでください!(ゴ)

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