あいぶさき

 何年だか前に、
名前は忘れたが、
あるお笑い芸人に

「好みの女性タレントは?」

と質問したとき、

「相武紗季……ですかね?」

という答えを得て、
その理由を聞いてみると、

「あいぶ……
っていうのが
いいですよね」

と返ってきたので、
思わず吹き出してしまったのだが、
たしかに、
清純派的なスタンスであるにもかかわらず、
本名だか芸名だかは知らないけど、

「愛撫」

ってえのはすごい名字だな
……と、私も心のどこかで
高揚感を覚えていたことも
なくはない。

 で、最近、
「あいぶさき」について
ちょいと原稿に
書く機会があったのだが、
間違えて

「愛部沙樹」

と書いてしまい、
校了直前で修正できたから
よかったものの、
担当編集者から大目玉
くらったのであった。

 今どきのパソコンは
お利口さんなので、
たとえば、
「みすたーちるどれん」と打つと、
勝手に
「Mr.Children」と変換してくれるのだが、
「あいぶさき」
ギリギリ自動変換のワク内に、
入っていなかったようで、
うっかり
「愛部沙樹」になってしまった
ようである

……なんて、言い訳は
もう辞めておこう。

 なんせ、
一文字も
あっていない

のだ。

 10年以上前の話だが、
ある総合男性誌で
「木村拓哉」の表記を
「木村拓也」と間違えてしまったという
うっかりミスもあったが、
そのときも所詮は、
一文字違いだった。
(ただ、表紙の表記だったので、それはそれで大事件だった。さいわい私の仕事ではなかったのだが)

 ある意味、

天才的な
ボケっぷり

ではないか?

 私のパソコンときたら……。

PROFILE

山田ゴメス
山田ゴメス
1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
OL、学生、フリーター、キャバ嬢……1000人以上のナマの声からあぶり出された、オヤジらしく「モテる」話し方のマナーとコツを教えます

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