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あまりにショボイ自衛隊の緊急キット。隊員が撃たれても助けられない!?

 自衛隊の一般隊員の個人携行緊急品は「緊急袋、止血帯、緊急包帯」だけでした。国際活動などの特別装備になってやっと「チェストシール(銃創などで肺に穴が開いた時の応急処置用)、止血ガーゼ(四肢以外の止血部位の止血用)、人口呼吸用シート、はさみ」などが追加されます。しかし、その使い方すら各々の隊員にこれまで教えていなかったようです。
あまりにショボイ自衛隊の緊急キット。撃たれたら死ぬ!?

「平成28年度 防衛省行政事業レビュー外部有識者会合」より

 演習訓練時に高熱がでたがその場を離れることができなかったため、衛生隊員に熱さましを要求したところ、「バファリン」を渡されたという話があります。医師が処方できるような薬を処方箋なしに持ち歩くことはできないため仕方ないことですが、必要な薬が必要時にだせなければ隊員の命にかかわりますし、薬があれば免れた激痛に苦しむことになります。  訓練時や非常時、その現場で処置するための自衛隊の衛生隊員の緊急キットがどれほどひどいものなのか知るために、米軍と比較としたいと思います。  まず、自衛隊の衛生小隊の救護員が通常、「医療嚢」にいれて持っているものです。「内服薬(風邪薬、胃腸薬等)外用薬(ムヒ等)はり薬(シップ等)絆創膏、体温計、ハサミ、コールドスプレー、テーピング、コールドパック、止血帯、三角巾、救急包帯、ゴム手袋」家庭内薬箱といったところでしょうか。  対して米軍の衛生兵の持ち物はもっと大きなケガにも対応できるものが入っています。 ⇒【資料】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1275036
あまりにショボイ自衛隊の緊急キット。撃たれたら死ぬ!?

「平成28年度 防衛省行政事業レビュー外部有識者会合」より

 たとえば、止血帯だけでも、米軍のものは頑丈なマジックテープがついていて、手足に巻いてきつく締めることができ、巻き上げ棒でこれ以上動かなくなるまで回してはめこみ、大量出血を抑えるような高機能なものが標準装備です。また、最初から止血剤の浸み込んだコンバットガーゼは大量出血時に患部に当てて血液を凝固させる機能があります。チェストシールという胸部の穿通創や、包帯では圧迫できない皮下出血のときに使うものも自衛隊では特殊装備ですが、標準装備で米軍はもっています。さらに、潤滑剤を入れて鼻に差し込んで使う気道を確保するものや人工呼吸器や点滴が必要なときのキット、アナフィラキシー補助治療剤などもあります。骨折などに使える柔軟な金属でできた副木も常備してあります。  高機能で使いやすく応用の効くものをたくさん米軍の衛生兵はもっています。もちろん、その上で日常的な塗り薬や風邪薬、湿布薬なども持っています。
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米軍と自衛隊の間には途方もない差がある
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