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百合漫画は“女心”を知るための最良のツールだった!【カリスマ男の娘・大島薫】

 見た目は美女でも心は男――。「カリスマ男の娘」として人気を博し、過去には男性なのに女優としてAVデビューを果たした大島薫。女性の格好をしたまま暮らす“彼”だからこそ覗ける、世の中のヘンテコな部分とは?
大島薫

『2DK、Gペン、目覚まし時計』を手にする大島薫

 百合が好きだ。  百合とは女性同士の恋愛や恋愛に近い友愛を描いた作品を指す言葉だが、ボクはそういったものが好きだ。特に社会人百合と呼ばれるジャンルが一番アツい。  最近特にハマっている社会人百合漫画が『2DK、Gペン、目覚まし時計』という作品。ルームシェアをしているOLと、漫画家を目指す女性作家の日常で起こるアレコレを描いた漫画だが、女性同士の距離感が非常に興味深い。  個人的な百合の趣味として、ボクの希望は「セックスはして欲しくない」ということが挙げられる。これは別にレズビアンの方を否定する意味ではなく、あくまで作品という視点ではそのほうが面白い。女の子として、女の子というものには憧れるけれど、性的なことをしたいかどうかは自分自身わからない。そんな女性の微妙な距離感がもどかしく、愛おしいのだ。  あくまで異性が好きな、いわゆる「ノンケ」と呼ばれる女性たちが、女友だちと手を繋いだり、一緒に寝たり、キスをしたり。そういう感覚は女性ならではだなと思う。

女性は「ノンケ」でも女同士のキスに抵抗が薄い

 この見た目で生活をして、男性のときにはなかった、あることに気づいた。  女性からのボディタッチがやたらと多くなったことだ。  男の見た目のときは、女性にボディタッチをされたときは「お、ボクに気があるのかな?」なんて安易に思ってしまったものだが、いまは違う。純粋にそれをスキンシップだと受け取るようになった。要するに、ある意味それはボクが男として見られていない証拠でもあるのだが……。  女性限定の完全匿名掲示板「GIRL’S TALK」がある調査を行っている。「女同士のキスに抵抗があるか」という質問に「抵抗がない」と答えた女性は55.2%。さらに「女同士でキスしたことがある」と答えた女性にいたっては49.4%もいることがわかった。  これが男性に対する質問だったらと想像してみたらどうだろう? おそらく多くの異性愛者の男性は「男同士でキスなんてできない」と答えるのではないだろうか。実際、過去漫画家のよしむらかなさんがツイッターで行ったアンケートによるとこのような結果が出た。 「自分の考える最高の容姿の同性に告白されたらどうしますか?」という質問に、男性の46%が「お断りする」との回答がアンケート結果の1位を示したのに対して、女性は54%以上が「付き合う」と答えたようだ。  女性は女性同士の恋愛やスキンシップに、やたらと抵抗がない人が多い。ボクが思うにこれは、多くの女性が女性に対する憧れを抱いているからではないかと考えている。  以前、日刊SPA!内で「女性は一朝一夕で女性になるわけではない」というような旨の記事を書いた。我々男性はつい女性を「最初から女性の顔立ちをして、女性として振る舞える」と勘違いしがちだ。女装で生活する前はボクもそう思ってた。  一方女性は、女性らしさは磨かないと得られないものだということを知っている。知っているだけに女性に憧れる。いい香りを漂わせ、ムダ毛のない肢体を維持し、朝も昼も夜もかわいくある。そういうものが得難いことを知っているからこそ、そういう人でいられる存在を尊いものだと感じられる。
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一晩中帰ってこなった友達を、男は心配する?
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