最後に話を聞いたのは、こちらも肉王国・宮崎で今、最も注目される割烹「渋玄」の料理人、新田倫明さんだ。新田さんのオススメは豚肉の熟成肉だ。 「3cmほどの厚さに切った豚ロースを用意します。そして、表面に塩を塗り込み、キッチンペーパーで包んでからラップを掛けて冷蔵庫で一週間。ポイントは毎日キッチンペーパーを取り替えることですね。これだけで風味豊かな熟成豚肉が出来上がります」 　そんな熟成された豚ロースをバーベキューでいただく際には、これまた一手間、プロのワザがあるという。 「お肉はまず、常温に戻します。そして外側をしっかり、カリッとなるまで焼いたらアルミホイルで包みます。そのままお皿に置いて15分。余熱で中までしっかり火が通ります。これが本当に絶品。柔らかく香りが素晴らしいローストポークなんですよ。焼く際にお好みでニンニクや塩コショウを使えば、また違った味わいになるはずです」 　新田さんによれば、豚以外も鶏肉などは焼く前に一手間掛ければ、ワンランク上のお肉になるという。 「鶏肉はまず常温に戻しておくこと。そして、皮の部分と裏返して肉の厚いところに包丁を突き立てて何カ所か穴を空けておきます。鶏肉は焼き上がると皮と身が縮んでしまい、外は焦げているけど中まで火が通らない原因になります。切り込み入れておけば身が縮むのを防いで、火の通りが均一になるんです」 　ほかにもこんなことに注意すれば、市販のお肉がバーベキューで格段に旨くなるので、ぜひチェックしておいてほしい。 ・炭火の火加減は遠火の強火 ・薄すぎる肉は炭火で焼くと焦げやすいので少し厚めのお肉を選ぶこと ・焼き肉用のお肉はそのまま焼かず、焼く前にゴマ油（なければサラダ油でもOK）かけるとパサつかない ・筋の部分をフォークやナイフで切っておくと柔らかくなる 　いずれも難しいことは何もない。肉の達人たちの一手間を学んで、ワンランク上どころかプロ顔負けのバーベキューを演出してほしい。 取材・文／長谷川大祐（本誌）日刊SPA!編集。SPA!本誌では谷繁元信氏が中日ドラゴンズ監督時代に連載した『俺の職場に天才はいらない』、サッカー小野伸二氏の連載『小野伸二40歳「好きなことで生きてきた～信念のつくり方～』、大谷翔平選手初の書籍となった『大谷翔平二刀流 その軌跡と挑戦』など数多くのスポーツ選手の取材や記事を担当。他にもグルメ、公営競技の記事を取材、担当している