更新日:2022年12月14日 01:24
エンタメ

オタクとお茶の間がヘビメタに染められた2000年代――デトロイト・メタル・シティ、けいおん!、声優メタル

日本のへヴィメタルは世界へ

 2010年以降の日本のへヴィメタル・シーンは、嬢メタルおよびBABYMETALムーヴメント、さらにラウド系アイドル勃興へと発展していった。近年は、LOUDNESSやX JAPANなどのベテラン・バンドや、GYZEやBRIDEARなどの2010年以降に登場した若手バンドが海外で活躍している。日本と言う国、そして、オタクカルチャーの高い評価と足並みを揃えるように、日本のへヴィメタルも世界からの注目を集めている。  そのように発展していった背景は、先述のJAM Project結成に至るまでのジャパメタとアニソンの経緯や、オタクとメタルのハイブリッド・ユーザーの登場、またV系というジャンルの形成と「ゴスロリ」ファッションによるオタクとV系の融合などの流れがある。さらに、国内でのロック・フェスティバルの勃興と隆盛、ガールズロック・バンドの流行、アイドルグループの隆盛など、その要素は複雑に絡む。  海外においては、ベテランバンドの再結成や新世代メタル・バンドの台頭、へヴィメタルのサブジャンルの多様化が起こった。海外メタルの復興という要素も、国産メタルの隆盛に一役買っているだろう。  今回紹介させていただいたヘビメタネタ・コンテンツが、2000年代後半期にTVや映画、マンガ、アニメなどオタク向け作品をはじめとする多様なメディアで多く見られたことも、その流れのなかに位置付けられる。そして、これらが、一般層、オタク、そして若い世代に、へヴィメタルという音楽ジャンルの存在を知らしめる(または再認識させる)役割を果たした。  オタクカルチャーばかりが注目され、国産メタルカルチャーはあまり注目されていないが、今、日本のへヴィメタル(アニソンメタル、V系、ラウド系アイドル含む)は、世界からの注目を浴びており、さまざまな相乗効果によってアゲアゲの空気をまとっており、要注目と言えよう。
(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)
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ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  だが、実はジャパニーズメタルは、長らく洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 本書は、メディアでは語られてこなかった暗黒の時代を振り返る、初のジャパメタ文化論である。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

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