山田ゴメスの俺の恋を笑うな
仕出し屋というお仕事
私がまだ、Hot Dog PRESSなどの若年男子向け情報誌の仕事を
ガンガンやりまくっていたころ、
仕出し屋
なる職業が、マスコミ業界で、けっこうな幅を利かせていた。
一応、かいつまんで説明すると、
雑誌に載ったり、テレビに出たりする
素人の男女を
用途に合わせてブッキングする
いわゆるスキマ産業であって、たとえば
女子大生30人が誌面で公開彼氏募集!
などといった企画を立てたとすれば、
なるたけ可愛い女子大生を30人集めて
撮影現場に入れ込んで、
出版社側から支払われる謝礼の何%かをかすめ取る、
(雑誌に出させてあげるという上から目線で100%かすめ取るケースも珍しくなかった)
人脈だけを糧にした、薄利多売の仕事なわけだ。
で、当時、そんなあこぎな人身売買を食いぶちにしていた
Hクン
という男がいたのだが、そのHクンに私が、
一度仕出しを発注したときの話である。
ある雑誌で、
「おもろいカップル大集合!」
みたいな企画を立てて、
そのうちの一組として
「プロレスラーみたいな男と
身長150㎝以下の女の子を連れてきて」
と頼んだのだけど、
たしかに、彼が連れてきた
女子は見事に身長147㎝。一方の男は身長190㎝。
でも、男の体重が60㎏にも満たないのだ。
当然、私はHクンに、
「こんなガリガリのヒョロヒョロ
連れてきてどうすんだよ!
話が違うだろ!?」
とクレームを入れる。
ところがHクンは、
「馬場みたいでしょ? 馬場みたいでしょ?」
と言い張って譲らない。
結局私もだんだんそのノッポが
なんとなく馬場に見えてこない、ようでもなく……
しょうがなしに裸にして赤いパンツをはかせて、
今度は私が担当編集を
「馬場みたいでしょ? 馬場みたいでしょ?」
と説得し、辛うじて事なきを得たのであった。
また、私が直接被害こそ被りはしなかったが、
こういう話もあった。
当時、そこそこ人気のあった
某グラビア系エロ本の編集部に、Hクンが
「完ペキ素人女子高生6人がお部屋でヌード!」
という大胆な袋とじ企画を
仕出し込みで持ち込んだ。
ところが、その6人がイザ撮影となって、
(本当に女子高生だったかもかなり怪しかった、オマケに全員ブスだった、とたまたま現場に居合わせた某知人は、のちに語る)
「脱ぐなんて聞いてないんですけどー!」
と、ゴネはじめ、
(現場に連れて行けばなんとかなるだろう、とHクンは見積もっていたに違いない、とたまたま現場に居合わせた某知人は、のちに語る)
結局は、本来なら誌面で
もっともハードじゃなければいけないハズの
袋とじ16ページが、終始
パジャマパーティ
オンリーとなったのであった。
慢性的な構造不況にあえぐ昨今のマスコミ業界、
とくに出版の世界では、もはや
絶対に許されないイイ話じゃないか
……とノスタルジックな気分に浸る私は
やはり、もう感覚が古いのだろうか?
ちなみに
この仕出し屋なる職業、
今は経費削減の波にのまれ、
もはや絶滅寸前
だという。
PS:もう一度私用です。ニシケン、連絡請う!
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