詩人たる者

おお……神よ

もし あなたが

この ニッポンにおいて

なにか 我々が誇るべきものを

与えたもうなら

今後百年間

あなたの魂は

我々の心の中に

宿り続けるであろう。

 こんな即興詩が、
ある駅の構内にある
公衆便所の大便場の壁に
書かれていた。
(たまたまケータイを持ち合わせていなかったので、書き写すのに5分くらいふんじばったポーズのままだった)

 正確には、

「神」の部分が「紙」

だった。

 おそらく
尻にこびりついた大便を拭く紙が
なかったんだろう。

 「紙」で通すと
まったく意味がわからない。

 「神」で通しても
「今後百年間」の部分が
直接的すぎて安っぽい。

「心の中」という部分も
表現に注意深さを見いだせない。

でも、
何か得体の知れない
迫力だけは伝わってくる。

 詩の創作というのは、
こういった
内から湧き出てくる叫びを
より洗練された言葉を選択してつなぎ、
再構築していく作業

なのかもしれないと感じた。

 そして、感じてから今一度、

この即興詩を噛みしめ直してはみたけれど、

あまり、大したものは
思い浮かんでこなかった。

 どうやら、私には
その手の才能が
欠落しているようである。

 ちょっぴりしょんぼりした。

PROFILE

山田ゴメス
山田ゴメス
1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
OL、学生、フリーター、キャバ嬢……1000人以上のナマの声からあぶり出された、オヤジらしく「モテる」話し方のマナーとコツを教えます

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