一人称問題

 『俺の恋を笑うな』なんてタイトルを安易につけてしまったものの、じつのところ私には一人称を「俺」と呼ぶ習慣がない。

 そもそも女性のファーストネームを呼び捨てできる度胸もない、妹さえもいまだに佳代ちゃんと呼んでしまうチキンハートの私である。関西育ちの名残りもあるのかもしれないが、やはり「僕」みたいにソフトな響きのほうがしっくりくる。(関西では、けっこうお下劣なオッサンでも、自分のことを「僕」と呼んだりする。ただし、イントネーションは「ぼ」ではなく「く」に来る)。

 もちろん、コラムやエッセイでも、20年近く「僕」を貫き通していた私だが、今回このブログで私は「私」に初挑戦してみることにした。理由はこうだ。

 藤代冥砂さんという人がいる。業界内で知らぬ者はいないという、超売れっ子のカメラマンである。最近はユニクロのCMに出演してたりもした。

 いつも重い機材を持ち歩く仕事だからか、身体はいかつい。アンド無精ヒゲの坊主頭。そんな風貌なのに、藤代さんは通常会話でも自分のことを「私」と呼ぶ。

 これはモテると私は直感した。

 ”意外性=ギャップのある男に女性は惹かれる”ってヤツだ。そして、いつも使っている一人称というのは、もしかするとそのようなギャップを演出する、もっとも簡単で有効なコンテンツなのではないか。

 ご覧の通り、私の顔は相当ワイルドだ。汗っかきゆえデコはいつもテカりまくって、「獣臭とかしそうだよね……」なんてたまに言われたりもする。そんな私だからこそ、「私」もしくは「僕」なのだ。逆に、色白ファニーフェイスのスィーツ男子なんかは自分のことを「俺」と呼んでみればいい。

 ワイルドタイプの口から発せられる「私」は、特にギャル系に効くのではないかと私は推測する。

 なぜなら、「ギャルはオラオラ系の彼氏に疲れはじめている」という情報を某所でキャッチしたからだ。かといって、草食系ぢゃ物足りない……そんなアンニュイなギャルたちのハートのピースにピタッとハマるのが、ワイルドっぽいのに意外とジェントル、たとえば私みたいな男による「私」であって、50代目前男ならではの包容力だと思うのだが、いかがだろう。

 ただひとつ残念なことがある。

 私には、キャバクラとか風俗に行かなければ、つまり銭を払わなければ、ギャルとお話できる機会が、今のところ全然ないのである。

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こーいう男が自分のことを「私」なんて呼んだ日には、ギャルが萌えるのも無理はない。(※写真の男は藤代冥砂さんではありません)

PROFILE

山田ゴメス
山田ゴメス
1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)
OL、学生、フリーター、キャバ嬢……1000人以上のナマの声からあぶり出された、オヤジらしく「モテる」話し方のマナーとコツを教えます

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