山田ゴメスの俺の恋を笑うな
おピンクな会合
山崎豊子さんは、私が大好きな作家のひとりだ。
『白い巨塔』『華麗なる一族』『不毛地帯』『沈まぬ太陽』……と、圧倒的な取材量に裏付けされた上で、再構築される緻密なセミ・ノンフィクションは、同じ……というのもおこがましいが、文筆を生業とする人間にとっての、憧れのスタイルである。
そして私は今、山崎先生の著書『仮装集団』を読んでいる。
平べったくストーリーを解説すると、
昭和30年代前半、左翼系とブルジョア系の音楽鑑賞団体が会員をあの手この手で取り合っていく、
といったものだが、
そのなかで描かれている当時の集団デートの風景が、とても印象深かったので、ゼヒここで紹介してみたい。
六甲山のカンツリー・ハウスで、勤音開催のピクニックが催されていた。日曜日を利用した地域の戸外活動で、なだらかな丘に囲まれた広々とした芝生に五十人余りの会員が大きな輪をつくって座り、アコーディオンの伴奏に合わせて唄っていた。
(中略)
会員たちが唄い終わると、斉子は生き生きとした表情で、
「皆さん、すっかり上手に唄えるようになりましたね、それではこの辺で、プレゼント交換会に移りましょう」
会員たちはそれぞれのナップ・ザックやバスケットの中から、百円で買い求めて来た思い思いのプレゼントの包みを取り出した。
地域委員の井川が、赤と黒の二つの箱を手に持ち、
「これからこの赤と黒の二つの箱を皆さんに廻しますから、女性は赤、男性は黒い箱から一枚ずつ、クジを引いて下さい、クジには各々、数字が書いてありますから、男女同じ数字の者同士がプレゼントを交換し合い、本日の仲良しカップルとして公認します」
くだけた口調で云い、二つの箱を廻した。それが目当てで参加する若者たちが多かったから、カップルが生れる度に、熱っぽい賑やかな笑いがたった。
(後略)
ちなみに当時、こういう会合のことは、左翼用語でピンク・ムードと呼ばれていたらしい。
やってみてー!
と猛烈に羨ましくなった。
仲良しカップル、サイコー!!
まるで、プラトニックな乱交パーティではないか!
もし、こんなお見合いパーティがあったなら、私は絶対に行ってみたいと思う。
※ちなみに、サングラス論争、まだまだ終わりにしたくないので、ゼヒ↓にも飛んで、コメントを書いてください。よろしくね(ハート・マーク)
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