40代で下流老人としての未来が確定しつつある人たち
『下流老人』とは社会福祉士・藤田孝典氏の著書で、その定義は「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」のことだが、人生のボタンを掛け違え、早くも下流老人としての未来がほぼ確定しつつある40~50代の人たちがいる。その胸中に迫った。
高校卒業後、ドラマーを目指し上京した田山健二さん(仮名・45歳)は、30歳で結婚をするも「嫁に甲斐性のなさを責められ」離婚。その後35歳で再婚。前回の教訓を生かし、バンドは続けつつ東京ガスに就職した。15歳年下の二番目の妻は従順で、夢の実現も望んでくれていたが……。
「子供が欲しいと毎日言われて……。子供を養えるほどの収入ではなかったのでプレッシャーでした」
そうして二度目の離婚。それ以降は生活保護受給者の道を選んだ。
「とにかく、音楽を諦めきれなかったので、今の生活はすごくラク。まあ最終的にはホームレスになって野垂れ死にするんだろうけど」
三田恵理子さん(仮名・50歳)は昨年、15年以上勤めていた外資系の会社から突然リストラされ、失業保険と貯金で生活している。もう一つの悲劇は、高額だった給料をブランド品や外食などで派手に散財していた頃の金銭感覚が抜け切れていないこと。
「まさか50歳でリストラされるなんて思わなかったから」
彼女の財布からは、今も大量の高額領収書が。「こないだ友人に不幸があったので喪服を買った」という領収書の額面は18万円。先行きが不安ではないかと尋ねると、「私はお金に困ったことが一度もないしすごく運のよい人生を送ってきているから今回も大丈夫。専属の占い師に毎月開運してもらっているし」と話す。一度メンタルバランスを崩すと、下流に転落しても自覚できなくなる。自覚症状はさほどないが、下流老人への道をひたすら突き進んでいる。
某美術大学卒の千石アキラさん(仮名・47歳)は大学時代の同級生と駆け落ち同然で結婚したが、ほどなくして離婚。その後は、裕福な両親のもとへ戻りイラストや挿絵の仕事をしながら暮らしていた。しかし、42歳の時に父親が肝臓がんに冒され、その後半年もしないうちに母親も倒れそのまま認知症を発症。妹は結婚して遠方にいるため頼りにならず、介護によって職も一気に失う。父親が他界すると、遺産の半分以上を使って自宅をリフォームしカフェを併設。母親の介護をしつつ、できる仕事を考えた結果だった。しかし、母親の通院や突発的な用事などでカフェの定休日は不定期。これでは固定客もなかなかついてくれない。
また「美大卒」、「芸術家」ということにプライドがあるため、派遣などで働くことは断固拒否。正社員になったことがないので、厚生年金も受給されない。遺産がなくなるのは時間の問題だが、「母が死んだら生命保険3千万円が入るから老後は大丈夫」とすまし顔だ。妹と分けると、老後資金としては微妙な額だが……。
皆、今のところ平静を保っているが、体の自由が利かなくなる頃には何を思うだろうか。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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『下流老人』 今、日本に「下流老人」が大量に生まれている。この存在が、日本に与えるインパクトは計り知れない。 ![]() |
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