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都知事選で埋もれてしまった横田基地の「空域返還」と「軍民共用化」問題



 木村氏の話すように、2006年に政策シンクタンク「統計研究会」が行った調査によると、軍民共用化による経済効果はおよそ1610億円に上り、雇用創出効果は8850人規模になるという。2005年には、多摩地区の商工会議所をはじめとする計26団体が「横田基地軍民共用化推進協議会」(2015年に「多摩地域経済団体横田飛行場民間利用促進協議会」に改組)を設立するなど、地元産業界も都と足並みを揃えて国に働きかけを行ってきた経緯もある。

 舛添前都知事は2014年の都知事選に臨む際、『多摩重視』を公約に掲げ、これまで局長クラスが担ってきた多摩エリアの地域振興プロジェクトのトップに副知事を配置。一見、多摩振興に力点を置いているかのような姿勢も見せていたのだが、知事を務めた最後の1年間は、「美術館巡り」や「海外出張」は足繁く通う一方、多摩地域に視察に入ったことは一度もなく、横田の軍民共用化への取り組みもいつの間にか話題に上らなくなった。

「軍民共用化は、決して実現不可能な話ではありません。自衛隊や米軍が保有する民間航空機が発着する『共用空港』は、茨城県の百里基地(茨城空港)をはじめ全国に8か所も存在している。2012年に民間利用が可能となった岩国基地(山口県岩国市)は、地元の人たちが頑張って民間共有化への道を切り拓いた。横田ラプコンの一部返還も石原元都知事が国を突き上げたからこそ取り返せたわけですし、新しい東京のリーダーが本気で動いてくれれば事態は変わるはず。舛添前都知事が指を咥えてやり過ごしていた間に、2017年から新型輸送機CV22オスプレイプレイの横田基地配備が決まったこともあり、以前にも増して交渉が難しくなるのは間違いないですが、次期都知事には期待したいところです。ただ、主要候補者と言われる3候補は、悲しいかな、ほとんどこの問題には触れていません。ほかの候補者を見渡しても、『横田の軍民共用化による多摩の経済発展』とストレートに公約で示しているのはジャーナリストの上杉隆氏や山口敏夫元労相ら数人のみ……。石原―猪瀬都政が長らく取り組んできたこの横田の問題を、再び埋もれさせてはならないと考えてくれる新しいリーダーの登場を願っています」(木村氏)

 世界に名だたるメガポリス、東京――。多くの問題を抱えながらも、どんなヴィジョン(未来)を描いて前に進めていくつもりなのか? 選挙戦も中盤に入ったこともあり、やはり各候補者たちには、政策本位で議論を深めてほしい。

取材・文/山崎元(本誌)

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