孫正義がトランプとプーチンに急接近する理由とは? 元ソフトバンク社長室長が分析する
なぜ、孫氏はトランプ氏、プーチン氏と立て続けに超大物との距離を縮めることができたのか? かつて孫氏の参謀としてソフトバンク社長室長を務めた島聡・多摩大学客員教授は「孫さんの常套手段なんです」と前置きしながら次のように解説する。
「プーチン氏とは大統領に就任する直前の2000年からの付き合い。すでにIT長者となっていた孫さんがロシアに足を運んで、プーチン氏が大統領に就任した暁にはロシア国内のITビジネスに投資をしたいという話をしたんです。残念ながら翌年に日本のITバブルがはじけて、投資話はとん挫してしまいましたが、その後もプーチン氏とは折に触れて会談している。その証拠に、近年ではプーチン氏が掲げる“電力網構想”にしっかり食い込んでいます。ロシア極東・シベリア地域の安価な自然エネルギーを、海底ケーブルを敷設して日本や中国などに輸出する構想です。孫さんは自然エネルギーを推進し、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏をはじめとした有力投資家らでつくった自然エネルギーファンドにも出資している。電力網構想が実現した暁には、それらのファンドなどを通じて投資するつもりなのでしょう」
実は、プーチン氏以外にも、孫氏は複数の国家元首に投資話を持ちかけてきた。
「2014年にはインドのモディ首相と会談してインドのIT企業に10年間で1兆円投資することを表明し、その翌年にはさらにインドで太陽光発電事業にも参入しています。モディ首相が自然エネルギー事業を積極的に推進していることに賛同して、大規模な投資を開始したわけです。今年7月には、直前のEU離脱の是非を問う国民投票を経て新たにイギリスの首相に週にしたメイ氏とも会談しています。EU離脱で投資環境が悪化する懸念もあったなかで、イギリスの半導体設計会社アーム・ホールディングスを3.3兆円で買収する話をまとめあげ、会談では5年でイギリス国内の従業員を2倍に増やすことを約束した。このように、孫さんは政治家に投資の話を持ちかけるとき、必ず『雇用を増やす』ことをプレゼンする。だから、どこでも歓迎されるんです」(嶋氏)
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