孫正義がトランプとプーチンに急接近する理由とは? 元ソフトバンク社長室長が分析する
当然、IoT投資でも莫大なリターンを得る算段ができているという。元ソフトバンク社長室長で、ソフトバンクテクノロジーの社外取締役を務める三木雄信・トライオン社長が話す。
「IoT産業は今後5~10年単位で、年率20%近い成長が見込まれています。だから、孫さんは5兆7000億円という莫大なお金を投下すると言っているんです。おそらく、アメリカのIoT関連ベンチャーにくまなくお金をばら撒くことでしょう。ベンチャー投資は100社に投資して、1つ、アリババのように花開いたら儲けものという世界ですが、IoT関連ベンチャーすべてに投資したら、業界全体の成長率に見合うリターンが得られるのは確実。潤沢な資金があるだけに、おのずとシリコンバレーの有力企業の情報なども入ってきやすくなる。成長性の高い企業はソフトバンクグループに組み入れて、今後のIoT産業を主導していくことも考えられます」
そんな期待感はすでに株式市場でも如実に見えている。トランプ氏と会談して以降、ソフトバンクの株価は急騰。連日、年初来高値を更新した結果、25%の株を保有する孫氏はファーストリテイリングの柳井正会長兼社長を抜いて、日本一の富豪の座に躍り出たのだ。そんな孫氏を、三木氏は「わらしべ長者的」と評する。
「私は、トランプ氏との会談が実現した最大の要因は、アームの買収にあったと考えています。3.3兆円もかけて、高い買い物をしたと批判的に見る人もいましたが、アームを買収するメリットはとてつもなく大きい。なぜなら、アームは世界の名だたる半導体メーカーを顧客に抱える設計会社。最新のテクノロジーに関する情報はすべてアームに入ってくる。一般に半導体は2年先のデバイスの性能を決めてしまうと言われています。現在の半導体の処理能力などをベースにデバイスメーカーが新機種の開発を行うからです。つまり、アームを買収したことで、孫さんはIoT時代のデバイスの2年後を見通せるようになった。だから、サウジアラビアは政府系ファンドを通じて、ソフトバンクと共同で最大1000億ドル(10兆円)規模のファンドをつくって、IT関連企業に投資することを決断したんです。そして、その資金力があったからこそ、トランプ氏は孫さんと会わないわけにはいかなくなった。だから、わらしべ長者的なんです(笑)」
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