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就活シーズンに暗躍する「絶対に就職できる」セミナーの正体とは?

実態はブラック企業への人材斡旋

 大手紙の都政担当記者は、就活生の不安を煽りまくり、いわゆる「自己啓発セミナー」の受講を学生に強引に勧める業者が複数あると説明する。 「もちろん、すべての就活塾ではありませんが、なかには執拗な勧誘行為で、都から是正勧告を受けているような悪質な業者もいます。今もほとんど野放し状態。入塾者の就職率が高いと宣伝されていますが、実態は人気のない企業やブラック企業への人材斡旋。それら企業からキックバックをもらっている業者もあり、まさに“詐欺”です」  不安に駆られた就活生を喰い物にした許されない行為だが、実際に骨の髄までしゃぶり尽くされる就活生も存在する。その就活生とは……。 「じつは就活塾の勧誘員のほとんどは、元就活塾の塾生なんです。勧誘員は『就活塾に入社した』と自称していますが、ほかの企業にすべて落ちてしまった人たち。それでも“内定”や“就職”という目に見える結果を急ぐばかりに……。しかも彼らは業務委任契約で勧誘業務を行っているだけで、定期的な給料は受け取っていません。就活生の勧誘数や入塾数によって歩合給が発生する形ですから、勧誘員はとにかく手当たり次第に学生に声をかけまくっている」  筆者は、ボロ靴に皺だらけのスーツを着た、前出の勧誘員に声をかけた。 就活「しっかり給与をもらっていますか? あなたも騙されていませんか?」 「騙されていません。仕事の邪魔をしないで下さい」 「あなたの会社は、違法な勧誘をしていますよね?」 「私は知りません。警察を呼びますよ、離れてください」 「あなたが一生懸命なのはわかるが、まともに働いたほうがいいのでは?」 「……」  勧誘員は以後、筆者の呼びかけを一切無視し、逃げるように立ち去っていった。とてもまともな会社員とは思えないほどに乱れた服装、爪は伸び、髪もボサボサだ。  決して余裕のある生活があるように見えなかった勧誘員。給与などまともに支払われないにも関わらず、“詐欺同然”の仕事を懸命にこなす彼を、一体何が突き動かしているのだろうか――。 <取材・文/伊原忠夫> 【伊原忠夫】 元週刊誌記者。性犯罪事件を多く担当。現在はフリーランスのウェブ編集者として、様々なネットメディアで活動中。
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