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秋葉原駅「爆弾」騒ぎ、寺社「油被害」事件は大規模テロの予行練習か【評論家・江崎道朗】

尖閣対応で疲労困憊な自衛隊と海上保安庁

秋葉原駅「爆弾」騒ぎ、寺社「油被害」事件は大規模テロの予行練習か【評論家・江崎道朗】 事前に相手の出方を探るという手法は、なにもテロだけではない。小出しに挑発を繰り返すことも、本格的な戦争の予兆、予行演習なのだ。  そして中国は、その予行演習を沖縄、南西諸島で繰り返している。  実は沖縄の航空自衛隊は連日のように、中国の戦闘機などを相手にスクランブル発進をして、中国の軍機による領空侵犯を阻止している。  このスクランブル発進と、尖閣諸島周辺の領海・排他的経済水域への侵入事件が常態化している事態を見て世界の軍事専門家は、「すでに日本と中国は準戦争状態に突入している」と見なしている。  そして連日のように繰り返されるスクランブル発進や尖閣海域への侵犯事件への対応で自衛隊と海上保安庁はくたくたで体力的にも限界に近付いている。ということは、本格的な戦争になったとき、ほとんど対応できないということなのだ。  毎日朝8時から夜11時まで働いていて、くたくたになっている社員たちに、いまの人員で新しい事業を立ち上げようと言って実現が可能だろうか。「新規事業を起こすのなら、人員を増やしてください」ということになるはずだ。  自衛官や海上保安官は有能であり、士気も高いが、マンパワーには限りがある。そして十倍以上の人員を抱え、海上民兵部隊まで創設している中国側は、日本の自衛隊や海上保安庁を披露困憊に追い込む目的で挑発を繰り返していると見たほうがよい。  言い換えれば、このまま人員や予算を増やさなければ、いざというとき自衛隊も海上保安庁も適切な対応をとることは困難だということだ。そして、いざというとき物理的に対応できない状態に自衛隊や海保を追い込むことが「彼ら」の狙いなのだ。  繰り返すが、マンパワーには限りがある。日本の平和と安全を守るつもりがあるならば、現場で奮闘している人たちを慰労するだけでなく、人員と予算を増やし、態勢を拡充すべきなのだ。 【江崎道朗】 1962年、東京都生まれ。評論家。九州大学文学部哲学科を卒業後、月刊誌編集長、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、外交・安全保障の政策提案に取り組む。著書に『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(祥伝社)、『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』(青林堂)、『コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾』(展転社)など
(えざき・みちお)1962年、東京都生まれ。九州大学文学部哲学科卒業後、石原慎太郎衆議院議員の政策担当秘書など、複数の国会議員政策スタッフを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究に従事。主な著書に『知りたくないではすまされない』(KADOKAWA)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』『日本占領と「敗戦革命」の危機』『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』『緒方竹虎と日本のインテリジェンス』(いずれもPHP新書)、『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』(いずれも扶桑社)ほか多数。公式サイト、ツイッター@ezakimichio

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 ’17年、トランプ米大統領は中国を競争相手とみなす「国家安全保障戦略」を策定し、中国に貿易戦争を仕掛けた。日本は「米中対立」の狭間にありながら、明確な戦略を持ち合わせていない。そもそも中国を「脅威」だと明言すらしていないのだ。

 日本の経済安全保障を確立するためには、国際情勢を正確に分析し、時代に即した戦略立案が喫緊の課題である。江崎氏の最新刊『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』は、公刊情報を読み解くことで日本のあるべき「対中戦略」「経済安全保障」について独自の視座を提供している。江崎氏の正鵠を射た分析で、インテリジェンスに関する実践的な入門書として必読の一冊と言えよう。
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