金髪に派手な化粧の田舎っぽい女の子から銀座最年少ママに――桐島とうかが綴るエピソード「漆黒革の手帖」
【50歳お独り様のB様のお話】
初めてお会いしたのは3年前でした。B様は私のお客様の中では数少ない独身のお客様で、某大手企業に勤めていらっしゃる方でした。出会った日からずっと必ず1人で週に3回ほどお店に来て、毎回10万円以上の会計をさらっと支払い、時には一晩で50万円以上も使うこともある方でした。お店の女の子たちが誕生日の際にはプレゼントにバックやアクセサリー、更に高級シャンパンまでいれてくださいます。最近の銀座ではここまで羽振りの良い方は中々見かけませんので、女の子たちにはモテモテでした。
有名企業とはいえ、とても雇われの方とは思えない豪奢な方だというのが、私の印象でした。当時の私はまだまだ未熟で、お若いB様がなぜそんなに沢山のお金を使えるのかという疑問さえ抱いていませんでした。
あるとき、B様は自身がお持ちの海外の別荘に、従業員全員を招待するとお誘いをしてくださりました。それに私たちは喜んで、一緒に日取りまで決めました。また、
「勝どきのタワーマンションをいくつか購入したのだけれど、使わないので、住みたい子が居たらただで住んでも良いよ」
とも仰ってくださり、B様の天下ここに極まれりという状態でした。
しかしそんな話をしていた矢先に、B様に税務調査が入りました。1億円を超える額を支払わなければならなくなったとの事でした。そしてB様は会社を辞めました。事実上は副収入を得ていたことによる、解雇でした。急なことで、たった一か月くらいの間にB様の生活はガラリと変わりました。
お店に来ても、ボトルが減らぬうちに帰り、会計を値切ってくる様になりました。B様との会話も、失業保険を貰う事にした話や、ハローワークに通っている話、「マンションが売れても、〇千万円の支払いが残るよ~」などという暗い相談ばかりでした。
後にB様から直接伺ったのですが、B様は当時、金券ショップで安く手に入れたチケットなどを知り合いの企業に転売するなど、いくつかの方法で多額の収入を得ていたそうです。長年勤めていた一流企業を辞めることとなり、税金のために全てのマンションを手放すことになったB様。「仕事を探さなきゃだな……」と呟く、すっかりやつれてしまっていたB様の表情が今でも忘れられません。
B様は税金について今まであまり学んでこなかったそうで、たまたまやってみた事が瞬く間に大金になり、ゲームのような感覚だったそうです。本業以外でお金を稼いでいる自覚はあっても、そこに税金が発生しているとの認識はなかったそうです。
しかし再び数か月後、久しぶりに店に来たB様は、凄く生き生きとした表情で、
「実家のお寺を継ぐことにするよ。来年、お坊さんになるための大学を受験することにしたんだ。税金は支払うべきお金だったわけだし、あんなことがなければ、僕の人生はずっとあの会社の安定に任せたつまらない人生だったと思う。いいきっかけだったよ」
と笑いながら仰ったのです。
B様のご実家がお寺だったことにも驚きでしたが、50歳で再び大学に通う決心をしたことにもとても驚きました。
B様はそれから大学受験のテキストを持ってお店に通ってくださりました。お酒を飲みながら女の子に問題を出したり、大学生の女の子に、わからない問題を教えて貰っていたりと銀座ではあまり見かけない不思議な光景でした。
その後、晴れてB様は特待生枠で希望の大学に入学し、今現在もB様はお店にいらしてくださっております。40代後半での大学生活や、お寺での修行について話してくださいます。
前ほど頻繁にはいらっしゃいませんし、お金もそれほどは使えなくなってしまいましたが、凄まじい転落人生から第2の人生を歩み始めたB様のお話は以前より面白く、沢山のホステスから慕われ、尊敬されております。
「お坊さんになったら頑張って檀家さんを増やしてまた前みたいに沢山飲ませてあげるからね~♪」
先日、B様がこうおっしゃってくださり、私は嬉しくて涙が出ました。同時に冗談とはいえ、B様のお心遣いに感動しました。
B様は財と職を失うといった不運な時に、第二の人生の可能性を見出し、勉学に励み、心に余裕を持って堂々と過ごされております。
「人は幸運の時は偉大に見えるかもしれないが、 真に向上するのは不運の時である。」
ドイツ古典主義の代表格であるシラーの言葉です。B様にピッタリだなと思ってお伝えしたら、大変喜んでくださいました。
これから、いろいろな人のお話をさせて頂ければと思います。今日ご縁を頂きました皆々様にも、福が訪れますように。
【桐島とうか】
’92年生まれ。’15年に学習院大学経済学部卒業。学生時代に起業して失敗し、水商売の道に進む。銀座にあるクラブ「Monterey」でママを務め、銀座のママとしては現在最年少。お店に来ている顧客数は2500人、個人の月間売り上げは1000万を越える。習い事はフラメンコ、ゴルフ、料理。趣味は仮想通貨投資、競馬、着物など
’92年生まれ。’15年に学習院大学経済学部卒業。学生時代に起業して失敗し、水商売の道に進む。銀座にあるクラブ「Monterey」でママを務め、お店に来ている顧客数は2500人、個人の月間売り上げは1000万を越える。習い事はフラメンコ、ゴルフ、料理。趣味は仮想通貨投資、競馬、着物など


’92年生まれ。’15年に学習院大学経済学部卒業。学生時代に起業して失敗し、水商売の道に進む。銀座にあるクラブ「Monterey」でママを務め、お店に来ている顧客数は2500人、個人の月間売り上げは1000万を越える。習い事はフラメンコ、ゴルフ、料理。趣味は仮想通貨投資、競馬、着物など
1
2
【関連キーワードから記事を探す】
「アニメ好きな女子高生」が銀座で“売れっ子ホステス”になるまで。きっかけは「“ギャルの同級生”のからっとした明るさ」
「女性にとってどうでもいいこと」なのに、男性が気にしがちなこと5選
知らないと恥をかく、キャバクラの“お酒”にまつわる暗黙のルール5選
現役ホステスが見た、夜の街で横行する“上納システム”の実態。「イヤだ」と泣く女性を無理矢理…
「20代前半の女性が好き」20歳以上の“年の差”恋愛を望む独身男性に、銀座ホステスが唖然としたワケ
金髪に派手な化粧の田舎っぽい女の子から銀座最年少ママに――桐島とうかが綴るエピソード「漆黒革の手帖」
奨学金400万円超を返済するため…風俗で働く貧困女子25歳のリアル
東京に流れ着いた貧困女子のリアル ネットで出会った男と駆け落ちした末に…
低所得に悩む女性たちのリアル…「妊活ができない」「風俗で働こうかと」
月400万稼ぐ銀座の最年少ママと不安を抱えて働き続けるガールズバー店員――夜の街で働く24歳の明と暗
金髪に派手な化粧の田舎っぽい女の子から銀座最年少ママに――桐島とうかが綴るエピソード「漆黒革の手帖」
なぜ芸能界とキャバクラはギャラで揉めるのか【コラムニスト木村和久】
“性産業”で働く人々の月収はいくら? 愛人クラブ社員、AVの女性エキストラ…
僧侶に月収を聞いてみた…「とてもオイシイ思いをしています」
スナックのママの月収っていくら? 夜の街に暮らす人々の給与明細
銀座ママが語る、浪費する女に狂わされた現代エリートの末路
男に尽しすぎる女の意外な盲点。銀座ママが語る
「否定ばかりする女はダメ男をつくる」銀座のママは見た
銀座のママが見た「50代でダメになる男」の特徴
銀座最年少ママが教える「ゴルフのたしなみ」――桐島とうかの<漆黒革の手帖>
初対面で「触らせろ!」元スナック嬢が明かす、“迷惑客”が常連の“良いお客様”に変わった瞬間
「女性にとってどうでもいいこと」なのに、男性が気にしがちなこと5選
コンカフェ嬢の時給はコンビニ店員よりも安い!?それでも若い女性が集まってくる理由
レズビアンを公言する“女性のホスト”が歌舞伎町で愛される理由とは
月収300万円超、歌舞伎町No.1キャバ嬢が「収入激減でも“プロレスラー”を目指す」意外な理由とは
金髪に派手な化粧の田舎っぽい女の子から銀座最年少ママに――桐島とうかが綴るエピソード「漆黒革の手帖」
「稼ぐキャバ嬢は挨拶をしない」 年商10億円・女社長が断言【歌舞伎町流「欲望のすヽめ」】
ペン1本で「仕事がデキる」ように見えるポージング
スナックにはビジネスで成功するための要素が詰まっている SHOWROOM創設者・前田裕二インタビュー
年商10億円・歌舞伎町の女社長が見た、成功する男の「飲み方」はココが違う!――歌舞伎町流「欲望のすヽめ」
22歳銀座最年少ママにトラブル続出!インバウンド客が支払い拒否に店内で大暴れも…
コロナで壊滅の銀座。元・銀座のママが50万円で始めた穴場ビジネス
男に尽しすぎる女の意外な盲点。銀座ママが語る
「否定ばかりする女はダメ男をつくる」銀座のママは見た
銀座のママ50名が集結する「Nightフェスタin銀座」、会場内は紳士淑女の華やかな雰囲気に
銀座最年少ママが教える「ゴルフのたしなみ」――桐島とうかの<漆黒革の手帖>
銀座最年少ママを支えた「伝説の黒服」の話――桐島とうか<漆黒革の手帖>
銀座最年少ママの知られざる苦悩「平均睡眠時間は3時間でした」――桐島とうかの『漆黒革の手帖』
「銀座のママ」はお金がかかるんです。バッグひとつに数十万――銀座最年少ママ・桐島とうか
銀座でモテる客は「ホステスに媚びを売る“隙”を作らせない」――銀座最年少ママ桐島とうか
この記者は、他にもこんな記事を書いています