更新日:2022年10月29日 00:57
仕事

警察に逮捕され営業停止処分に。欲望のためについた嘘が招いた悲劇――歌舞伎町10億円女社長の教え

双子の女の子が面接にやって来た

 わたしは、25歳のときに小さいキャバクラをオープンしました。独立してからは、アップスという会社を守ることが、わたしのすべてになりました。  当時は、今ほど、キャバ嬢の採用に関するノウハウもありませんでした。常にキャバ嬢が不足していたので、新宿のアルタ前で声をかけて、その日だけ働いてもらったこともあります。給料は日払いなので、1度きりで2度と店に来ない女の子がたくさんいました。  家がないという女の子に「店泊していいから」と交渉して、働いてもらったことも日常茶飯事でした。  そんなとき、双子の女の子が面接に来ました。正直、キャバ嬢が足りないときに、双子がふたり同時に採用できるのはラッキーだと思いました。本来は運転免許証のように写真付きの身分証がないと採用してはいけないのですが、早く働いてもらいたいという焦りもあって、健康保険証のコピーを預かっただけで、双子を採用してしまったのです。  この双子を雇ったことが、のちのち店が潰れてしまうほどの大損害を受けることになったのです。  実はこの双子、17歳だったのです。  健康保険証も他人のものでした。

「双子が働いていた事実を隠蔽しよう!」

 この双子は半年間、うちの店で働いたあと、上野のキャバクラで働き、その後、都内のデートクラブに所属していたところで、逮捕されました。逮捕後の供述から、うちの店と上野の店と、デートクラブが摘発されました。  警察は、双子の供述が正しいかどうかを確かめるため、うちの店の周りの店に聞き込み調査を始めました。テナント仲間のバーのオーナーやママたちが心配してくれて、警察が来たことを教えてくれました。 「双子の写真を見せられて、この子たちを見たことがあるか聞かれたよ。正直、女の子の顔なんて覚えられないし、『わからない』って答えといたけど、なんか悪いことしたの?」  実は双子が働いて1か月たったときに、高校中退の歳を聞いたら辻褄があわなくなり、私は彼女たちが未成年だということを感づいていました。ただ、確証がなく、人手も足りていなかったので、見て見ぬふりをしていました。  なので、この質問を聞いた瞬間、「やばい!」と思いました。  ご存知のように、キャバクラで未成年を雇うことは少年法にひっかかるためご法度です。キャバクラを営業するうえで、一番重い罪に問われ、悪質と判断された場合は、無期限の営業停止処分がくだされます。当然、お店も潰れます。そこで、わたしが真っ先に考えたのは「双子が働いていた事実を隠蔽しよう!」でした。  今考えてもお恥ずかしい話ですが、友だちのバーのオーナーとママには、しらばっくれることにしました。「悪いことなんてしてないけど、なんだろう? 教えてくれてありがとう」と。
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警察がお店にやって来た!
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新宿歌舞伎町キャバクラ「アップスグループ」オーナー。株式会社アップス代表取締役社長。津田塾大学卒業。25歳のとき、当時勤めていた外資系IT企業をやめて、歌舞伎町にキャバクラを開業。現在、歌舞伎町にキャバクラを4店舗、銀座にクラブを2店舗展開するまでに。キャバ嬢の育成やキャバクラの立ち上げ、経営改善のコンサルティングなども行い、グループ年商は10億円にもおよぶ。著書『劣等感を力に変える 成り上がる女の法則』が発売中

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