妊婦でAV出演を決めた、貧困シングルマザーの事情
―[山田ゴメス]―
「貧困シングルマザー」と呼ばれる、まだ20代のヤング女子が年々増えているという。
たとえば、勢いで子どもを出産したはいいが、それに臆してトンズラを決め込んでしまったヤリ逃げ男……残された“母と子”は途方に暮れているヒマもなく、とにかく食っていかなければならない。が、学歴も職歴もない子持ちの彼女たちにとって、社会の荒波はとても厳しく……。今日は、そんな絵に描いたような貧困パターンにあえぎ、ついにAV出演までをも決断したかなさん(22歳・仮名)に、そのリアルを語っていただいた。
――これまでの簡単な経歴などをお聞かせください。
かな:地元の高校を卒業してから上京し、マンキツ(漫画喫茶)やケータイショップのバイトを転々としてきました。初体験は17歳。相手は高校の先輩で、付き合ってから4ヵ月くらいで……だったかな? 女子友だちからは「痛いだけ」だとか「緊張してなにも覚えてない」だとか、いろいろネガティブなウワサばかり聞いてたけど、私は初めてのときからかなり気持ちよかったんですよ。なので、それ以来けっこうな数のヒトとエッチしてきましたね。
で、22歳になって、やっと本気で好きになれるヒトと出会ったんです。結局はエッチするだけの関係で、付き合うところまではいかなかったんですが、しばらくすると子どもができちゃって……。もちろん、彼に子どもができたことは伝えました。でも、最初こそ結婚に対して前向きな姿勢も見せてくれたのに、3カ月ほどたって、いきなり連絡が取れなくなったんです。(連絡が取れなくなった)当初は堕ろすことも考えたんですけど、お腹が大きくなっていくうちに母性みたいなものが芽生えてきちゃったんですかね……産むことを決意しました。
とは言っても、つわりがひどくて仕事もできなかったので、生活費や出産費用をどうしようかな……と真剣に悩んでいたとき、偶然ネットで妊婦のAV出演の募集を見つけて……「コレしかない!」と思って応募しました。
――今は出産後3カ月なんですよね? 生活の状況はどんな感じなのでしょう?
かな:出産する前、母にすべてを話して、現在は子育てを手伝ってもらいながら、時短勤務可能な働き口を探しています。ただ、職歴もキャリアも資格もないので、イイ仕事が全然見つからないのが正直なところです。就職活動や面接で、子どもを預ける一時保育も、料金が高くてなかなかできません。認可の保育園も働いていないと入れないので、申し込みさえできません。
――ってことは、経済的にもかなり困窮している、と?
かな:はい……。いくつか例を挙げてみると、
・児童扶養手当をもらっていて、都バスが無料なので、なるべく電車じゃなくバスで出かけている
・たまにスーパーでパートをしているので、残り物のお惣菜をもらって帰っている
・安いミネラルウォーターを求めて自転車で30分離れたスーパーまで買いに行っている
・牛肉は1年くらい買っていない
・子どもの服やオモチャはほとんど知り合いのお下がりや、フリマで購入している
・スーパーでは100円以上の食品はなるべく買わない
みたいな感じです。
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