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「踊らない美人より踊るブスの方がいい女」私は彼女と踊り続けた――爪切男のタクシー×ハンター【第二十一話】

「……踊ってみろよ」 「……え?」 「私に偉そうに言うならお前も踊ってみろよ!」 「……」 「……」 「……」 「……」 「よく見とけよ」  私は踊った、覚えたてのサイドステップ、アイソレーション、ポップコーンステップ。前後左右に華麗に動く。 「……うまいじゃん」 「……最近独学で勉強した」 「……へぇ」 「お前に教えてあげようと思ってさ」 「そうなんだ」 「TRFのSAMが言ってた。どんなに激しく動いても首から上を全く動かないようにするのが大事だって」 「SAMが?」 「言ってた」 「……私もやってみようかな」 「じゃ……踊ろうか」  その日から私たちは毎日一緒に踊るようになった。  これは不思議なもので、踊っていると自分の心が軽くなるのを感じた。身体を動かすことが必要だったのは私の方だったのだ。メルマガ編集とエロ動画サイト運営という日々のデスクワークで鈍った身体には刺激が必要だった。  自分の踊りを相手に見せるというのはとても恥ずかしいことだ。自分の裸を見せるような感覚に近い。だからこそ踊りを通じて、私達はお互いに素直になることができたと思う。長年の同棲生活でセックスレスに陥っていた私達にとって、一緒に踊ることはセックスの代わりになった。そして約七年間の同棲生活で、セックスをした回数よりも一緒に踊った回数の方が多くなってしまうことになるのだが、それはそれで素敵な思い出だ。彼女との恋が終わった今、とても誇りに思っている。
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「いい彼女さんだったんですね」
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死にたい夜にかぎって

もの悲しくもユーモア溢れる文体で実体験を綴る“野良の偉才”、己の辱を晒してついにデビュー!

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