シリコンバッグ豊胸の安全性は? 韓国では「バッグの中身が母乳に混入」も…
とかく話題に上りがちな豊胸手術のトラブル。’17年に入ってからも関連したトラブル、事故のニュースが国内外で相次いでいる。
1月には韓国で、5年前に豊胸手術を受けた女性のシリコンバッグが体内で破損し、母乳の中に混入するという事案が発生。一方で日本国内では、2月末に愛知県名古屋市の美容外科クリニックで豊胸手術を受けていた32歳の女性が意識不明になり、その後死亡するという事案が発生。死亡原因は特定されていないという。
体内に異物を入れることに対する不安感は大きいが、シリコンバッグの安全性は? 豊胸手術を多数執刀する美容整形外科医の磯野智崇氏に話を聞いた。
「韓国で一般的に使用されているシリコンバッグはアメリカ、ヨーロッパなど韓国外で製造されたもので、安全性は確かなものです。きちんと“正規品”を使っていた場合、シリコンバッグ自体の問題とは考えがたく、それ以外の要因があったと考えるほうが自然でしょう。正確な原因特定は困難ですが、手術時に製品自体をメスやその他の器具で傷つけてしまっている場合も考えられます。国内の事案についても解剖などの調査結果を待たなければ推測の域を出ませんが、報道された記事を見ると『局所麻酔を伴う』という記載があり、完全な全身麻酔ではなかった可能性があります。豊胸手術は体に対して大きな刺激を伴うものなので、医療の一般的な常識からすれば全身麻酔で行うべき。局所麻酔薬を大量に使用すると、麻酔薬が心臓の機能に大きな影響を及ぼし、深刻な事態を引き起こす懸念もあります。しかし実際には全ての美容外科医が自分で全身麻酔を行えるわけではないので、なかにはマンパワーの問題で全身麻酔をできないクリニックもあるかもしれません」
事故だけでなく、3月末に米食品医薬品局(FDA)が調査によって、豊胸の“インプラント手術”を受けた女性は、受けていない女性よりも非常にまれではあるものの未分化大細胞リンパ腫(ALCL)というガンの発生確率が高まることが確認されたと発表。挿入する豊胸素材のバッグには、「表面が滑らかなスムーズタイプ」と「ザラザラしたテクスチャータイプ」の2種類の表面加工があり、後者のタイプで発症率が高まるという。
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「実際、日本で一般的に使われているシリコンバッグもテクスチャータイプがほとんどです。どちらを使用するか患者が選ぶこともできますが、通常はテクスチャータイプをおすすめしています。これは“カプセル拘縮”を防ぐため。シリコンバッグを挿入した場合、体内の自然な反応として術後数カ月でバッグの表面に膜が張ります。この膜が異常に小さくなってしまい、シリコンバッグを圧迫し、形や質感にトラブルを起こすのが“カプセル拘縮”。テクスチャータイプのほうが、このリスクを抑えられるのです。FDAの発表はまだ調査段階かつ非常に珍しいケースのため現状では、“カプセル拘縮”のリスクを抑えるほうが現実的でしょう」
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